東芝グループ20万人が「社会貢献一斉アクション」、世界で518プロジェクト

東芝グループは12月5日の「国際ボランティアデー」に合わせ、従業員20万人が同日に社会貢献活動を行う「社会貢献一斉アクション」を実施した。東京本社で「子どもの人権」に関するトークセッションが行われたほか、北米では靴の寄贈、英国では食糧支援など、世界各地で518プロジェクトが展開された。一斉に全従業員が行動することで、大きな成果を上げるとともに、CSR意識の向上を図る試みだ。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)

「子どもの人権」をテーマに開催されたセーブ・ザ・チルドレンとのトークセッション
「子どもの人権」をテーマに開催されたセーブ・ザ・チルドレンとのトークセッション

東芝(東京・港)を中心とする東芝グループの子会社は、国内に177社、海外に421社ある。世界約600社の連結従業員数は20万260人に上る。

CSR推進室の大森圭介室長は、「ワールドワイドに20万人が同じ時期に行動すると、目に見える形で大きな効果を生み出せる。国際ボランティアデーに合わせて一斉に行うことで、社会にもインパクトを与えられる」と話す。

売上高(連結)の約6割を海外が占め、地域別の従業員数でも海外拠点が4割以上となっている。「世界のグループ従業員が連携することで、社会貢献意識の向上と連帯感の醸成を図りたかった」(大森室長)という。

■ 「子どもの人権」と企業とのかかわり

日本国内では、すでに報告が上がっているだけで5万3538人の従業員が、12月5日のアクションに参加した。

東芝本社では、「子どもの人権を考える」をテーマにトークセッションを開催。子ども支援の国際NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(東京・千代田)の海外事業部プログラム・オフィサー・芦田崇氏は、東芝と協働で進めているタンザニアでの「就学前」支援などについて報告した。

芦田氏は「東芝グループは従業員が多いので、アドボカシーが高まれば大きなうねりをつくれる。高い技術力を生かした活動を展開してほしい」と期待する。

会場には募金箱を設置。年内まで募集するクラウドファンディングの募金と合わせ、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンに寄付をする。集まった寄付金は、タンザニアの10カ所のコミュニティーで幼稚園など就学前教育を支援するプロジェクトに使用される。

東芝グループは2014年10月に行動基準を改定し、「人権の尊重」「サプライチェーンCSR」「コンプライアンスの徹底」などを強化した。「児童労働や強制労働は認めない」とし、サプライチェーンを含めた人権の尊重に取り組む。

フェアトレード商品の販売コーナー
フェアトレード商品の販売コーナー

さらに、トークセッション会場となったスマートコミュニティセンター(川崎市)のエントランスロビーでは、NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(広島県神石高原町)などがフェアトレード商品を販売。昼休みや仕事帰りの社員らが立ち寄って買い物をした。社員食堂ではフェアトレードスペシャルメニューを提供するなど、だれでも気軽に参加できる社会貢献活動を実施した。

トークセッション後には、東芝社員が結成し国内外で慰問や国際交流のための演奏活動をしている「東芝ライドオンジャズオーケストラ」が演奏会を開催した。

子会社の東芝テック(東京・品川)では、復興支援として東北の食材を使った特別メニューを提供。社内に物産展スペースを設け、12日まで販売を続ける。そのほか、国内でグループ各社が348件のアクションを実施した。

ワークショップコーナー。有志が国連ハビタット協会と共に、国際線空港の募金箱に集まった世界のコインを仕分けした
ワークショップコーナー。有志が国連ハビタット協会と共に、国際線空港の募金箱に集まった世界のコインを仕分けした

■ 靴の寄贈や食糧支援も

海外では、地域の特性に合わせた多様な社会貢献活動が展開された。例えば、北米東芝グループ10社は、この日に向けて職場で寄付用の靴を集め、裸足で過ごし破傷風にかかる人も多いハイチやガーナなど30カ国以上に寄贈した。

中国では、「ご飯を残さず食べよう」「ペーパーレス活動」「希望工程小学校への寄付」などが行われた。世界では毎年約1500万人もの人が餓死していることから、昼食を適量取って残さず食べ切る活動を従業員に呼び掛けた。中国では、マナーとして食べ残す文化があり、フードロスの問題が指摘されていた。

英国では、従業員が食べ物、果物、缶詰などを持ち寄り、必要な人に届ける活動を行った。東芝アフリカ社では、ヨハネスブルグにある無料食堂に食物を提供しているが、ボランティアの参画意欲の向上や一般に活動を広く周知するため、お揃いのTシャツを作成した。

こうした海外のプロジェクト報告件数は114にも上る。

東芝グループは、2013年から世界環境デー(6月5日)に合わせ、省エネのための一斉消灯などを実施する「東芝グループ環境一斉アクション」を展開してきた。これに加え、今年から「東芝グループ社会貢献一斉アクション」を始めた。社会貢献一斉アクションは、今年を皮切りに毎年実施していく予定だ。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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