トヨタの「アクアソーシャルフェス」、若者へのブランド浸透でも成果

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トヨタが2012年から実施する環境保全プログラム「アクアソーシャルフェス」が、節目となる3年目を終えようとしている。小型ハイブリッド車「アクア」の車名にちなみ、「水」をテーマに地域を巻き込んだ参加型の環境保護活動を全国47都道府県で展開。3年間で延べ344回実施し、3万4000人以上が参加した。クルマ離れが進む若者層に、アクアをブランドとして浸透させることにも貢献したという。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

■ 北上川でヨシ刈り、津波前の植生復原へ

ヨシ原で刈り取りをする参加者=12月7日、石巻市で

ヨシ原で刈り取りをする参加者。鎌で根元から刈り取る=12月7日、石巻市で

「こんなにも背が高いとは」。仙台市に住む女子大生(20)は、人の倍ほどもあるヨシの背丈に驚いた。

石巻市を流れる北上川で7日に行われたアクアソーシャルフェス。テーマは「津波で被害を受けた河口の再生をめざしてヨシ刈りをしよう」だ。午前中、様々な動機で集まった約80人の参加者が、簡単なレクチャーを受けた後、鎌を手に河川敷のヨシ原で刈り取りを体験した。

1時間ほどの刈り取りでテニスコート2面分ほどを収穫。ヨシの束が積み上がった。岩手県内で屋根の葺き替えに使われる予定だ。女性は「一面のヨシを刈るほどに空き地が広がる。成果が目に見えて楽しい」と笑った。

岩手に源を発する北上川の総延長は約250キロメートル。プログラムは「みんなの北上川流域再生プロジェクト」と銘打ち、上流から下流まで、3年かけて「アクアレンジャー」と呼ばれる環境ガイドの育成や植林などの課題に取り組んだ。

北上川下流での課題はヨシ原の復原だ。追波(おっぱ)湾に臨む河口は日本有数のヨシの群落が広がり、環境省「残したい日本の音風景100選」にも選ばれた。ところが東日本大震災の津波で大きな被害を受け、今も地盤沈下の影響で多くのヨシ原が失われたままだ。

アクアソーシャルフェスの運営にも協力し、ヨシ原再生に取り組むNPO法人りあすの森(宮城県石巻市)の伊藤拓さんは「ヨシは毎年生育する。人が刈り取り、利用することで生態系も保たれる。里山と同じ」と話す。

河川敷のヨシ原は地域の共有資産だが、震災以後は放置が進む。「市民にはなじみが薄い場所だが、きっかけさえあればヨシ原の保全にも関心を持ってくれる。地域にも好評だ」。伊藤さんはプログラムに手応えを感じている。

参加者がヨシで作ったペン

参加者がヨシで作ったペン

午後からは室内に移動。参加者は刈り取った後に自然乾燥させたヨシをカッターで削り、ペンをつくる工作を体験した。プロジェクトに携わるNPO関係者らが、北上川での3年間の取り組みについて映像を交えて振り返ったほか、老若男女問わずグループとなった参加者が「川の再生」をテーマにアイデアを出し合うなどのワークが行われ、様々なアイデアが飛び交った。

東京から来た自営業の男性(30代)は、地元の鶴見川で行われたアクアソーシャルフェスも体験するリピーター。その活動の楽しさについて「参加すると川の景色が違って見え、川を身近に感じるようになった。街中でもアクアに目が行くようになった」と話した。

■ 若者6割、「共成長マーケティング」に手応え

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2014年12月12日(金)18:00

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