トヨタ財団は8月20日、「2020年度 トヨタNPOカレッジ『カイケツ』」の第3回をオンラインで開催した。NPO向けにトヨタ自動車の問題解決手法を伝えることで、組織力の強化や社会課題の解決に役立ててもらうことが目的だ。第2回の「テーマ選定」に続き、第3回は「現状把握」のステップ。12団体が3グループに分かれ、組織の課題を探っていった。(堀理雄)
人材の育成や資金の確保などNPOごとにマネジメントの課題はさまざま。そんな現状を客観的かつ定量的に認識するのが「現状把握」のステップだ。
カイケツの古谷健夫講師(クオリティ・クリエイション代表)は冒頭、「問題解決に必要なことは、組織のありたい姿(目標)と現状とのギャップを明確にすること。『現状把握』を進めそのギャップを計るモノサシを持つことで、目標が見えてくる」と指摘した。
■沖縄から「環境とのつながり」伝える
カイケツに参加するNPO「おきなわ環境クラブ」は、エコツアーや川辺の「ごみゼロ作戦」などの実践や体験を通じて、地域の子どもと大人が沖縄の豊かな生態系や自然環境への理解を深めていくことを目的に活動を進めている。
いま力を入れている活動の一つが、環境教材の作成だ。産学官連携の枠組みを活用し、大学と協働でITを活用した教育現場で実践的に使える教材づくりを進めている。
立田亜由美事務局長は、「エコツアーなどの活動に参加してくれているのは、普段からゴミをポイ捨てしたりしない人たち。でも川辺のごみをなくすために大事なことは、それ以外の人たちにどう伝えるか。教材を通じて環境とのつながりを感じてもらえたら」と力を込める。
組織の収益事業の多様化という意味でも、環境教材に期待を寄せている。一方で学校現場との協働関係の構築や、スタッフが主体的に関われる組織づくりなど、課題は多いという。
古谷講師は「教材作成など新たなプロジェクトを進めることを通して、人材育成をはじめ組織力を高めるという点にフォーカスしてはどうか。大きな目標である『ごみゼロ』に向け、NPOとしての構えを強めていくことが必要」とアドバイスした。
立田事務局長は「息の長い活動をしていくためにも、組織として何が必要か考えていきたい」と話した。
■社会参加への「プロダクツ」に光を