阪神・淡路大震災の犠牲者の鎮魂と復興を祈念する「神戸ルミナリエ」。その光の祭典を、障がいをもった人が、混雑を避けゆっくりと鑑賞できるように配慮された「ネスレハートフルデー」が、神戸ルミナリエ開幕前の12月2日に東遊園地(神戸市)で開催された。付き添い者を含む1万4500人が来場し、ネスレ日本の社員とその家族など87人がボランティアとして参加した。16年間、同イベントを続けている原動力とは何か——―。ネスレ日本のチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)常務執行役員、石橋昌文氏に話を聞いた。(オルタナS関西支局特派員=近藤浩己)
午後6時20分にスタートした点灯式では、13万3000個の電球に明かりが灯され、大きな歓声と拍手が会場を包み込んだ。
社員だけでなく、顧客の「ネスカフェアンバサダー」もボランティアスタッフとして参加。ホットコーヒーなど、あたたかい飲み物を無料で振る舞い、車いすの来場者には、缶コーヒーやチョコレートを一人ひとりに手渡した。
コーヒーの湯気と香りが立ち上る会場では、参加者らの笑顔がルミナリエの明かりに照らされた。
■ 神戸で被災、復興のシンボルに
神戸に本社を置き、震災を経験したネスレ日本は、復興支援の一環として1995年から神戸ルミナリエに協賛。その中で、障がい者にもゆっくりと鑑賞してもらいたいということでスタートした「ハートフルデー」の趣旨に賛同し、同イベントを当初から支援している。
ハートフルデーは、神戸ルミナリエ開催4年目から行われ、今年で16回目を迎えた。
長年続けてこられた理由について、石橋CMOは「社員が進んでボランティアに参加してくれているところが大きい」と話す。
「来場者が喜んでくれることがボランティア自身の喜びにつながっている。顧客であるアンバサダーのみなさんが参加してくれることで、よりチームとしての一体感も高まっています」と続ける。
今後については「ルミナリエは復興のシンボル。復興した神戸を見てもらうことで、ほかの災害に遭われた地域の方にも希望を持っていただきたい。ハートフルデーを楽しみにしてくれている方のためにも、ルミナリエが続く限りこの活動も続けていくつもりです」と力を込める。