■電気をムダなく 自然の恵みに安心感
大規模発電所で発電し、遠方の消費地に送電する従来の集中型電力システムでは、発送電時のエネルギー損失が無視できない。一方、自然エネルギーは分散発電が可能なため、電気の「地産地消」が容易だ。「電気をなるべくムダなく使いたい。家庭で電力自給できる独立型システムは理にかなっている」(千佳さん)。
一方で「全ての家庭が独立型である必要はない。家庭の電気をまかなうために蓄電池を大量生産するのは本末転倒」(隆哉さん)とも。中古蓄電池を活用しつつ、努力や忍耐がいらない範囲で電力自給が普及すれば、というのが隆哉さんの考えだ。
ちなみに欧州では、電力網を分散型電源に適合させる努力を通じて、自然エネルギーの導入量を増やしている。他方、日本では電力会社が一時、自然エネルギー電源の接続申込みを保留。また、エネルギー基本計画では原発を「重要なベースロード電源」と位置付ける。配電網につながる家庭で自然エネルギーの利用が増えるかどうかは、今後の電力システム改革の如何によるだろう。
自エネ組によれば現在、独立型システムを導入したのは全国で29か所。
「電気料金で比較すれば独立型システムは割高。けれども、生活に自然の恵みを取り入れられることで生まれる安心感はかけがえがない」。佐藤さん夫妻は電力を自給する生活に満足している。
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