聞こえる人・聞こえない人が共に作る人形劇

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「デフ・パペットシアター・ひとみ」は1980年、ひとみ座を母体とした現代人形劇センター(神奈川県川崎市)内にろう者と聴者の協同による専門人形劇団として発足。1981年から公演活動を開始し、今年で33年目を迎えた。結成当初から、障がいの有無に関わらず楽しめる人形劇を創ること、ろう者と聴者の感性を活かして新しい人形劇の表現に挑戦すること、大人も楽しめる人形劇を創ることを大事にして公演を重ねてきた。(フリーライター・今一生)

新作『森と夜と世界の果てへの旅』の公演のようす

新作『森と夜と世界の果てへの旅』の公演のようす

昨年は年間で本公演50回+学校公演20回をこなし、累計動員数は約1万6000人に上る。過去には、カンボジア、韓国、アメリカ、台湾、エジプト、チェコスロバキア、フランス、ポーランドなど海外でも公演を行ってきた実績もある。

耳の聞こえる人と聞こえない人が一緒に作り上げる芝居。障がいの有無に関係なくより多くの人に見てほしい。それには独自の工夫や新しい表現の開発が必要とされた。同劇団の制作部のスタッフ・大里千尋さんは言う。

「言語が違うので、稽古はすごく時間がかかります。演出家は手話で演出する必要もあり、役者にも手話通訳をつけています。音を使う時、耳の聞こえない人はわかりません。でも、それはマイナスなことではありません。例えば、『はこ』という作品にはオルゴールが出てきますが、音符を人形にしてみるとか、電子レンジのチンの音をダンスにして体を使うなど、新しい表現が生まれました」

劇団には役者が6人、制作3人、現代人形劇センター全体では他に4人のスタッフがいて、日本の文楽を海外で上演したり、外国の人形劇団の招聘もしている。

文化庁の助成金を毎年申請しているが、下りない年もある。新作の公演をする際に企業からも助成金を得ることもあるが、チケットは役者と劇団で手売りしてきた。

しかし、公演の多くは、劇団の制作部から全国各地の聴覚障害者協会や手話サークル、まちおこしの団体、子育て団体などに「そちらでやりませんか」と声をかけ、実行委員会を発足し、ミーティングを重ね、1年間ほどの準備期間を設けて実行委員会を作り、実現してきた。

実行委員会による公演は、約650地域で2500回を超えた。実行委員会の委員からひとみの人形劇の役者になる人も出てきた。

「今年、名取・郡山・宮古・青森など東北の4カ所で公演を行いました。被災後に初めて公演したこともあり、地域に住んでいた人から『実行委員会の立ち上げを通じて地域で住む方々どうしでつながっていけた』という声をいただきました」

今後の公演スケジュールは、同劇団公式サイトで公開されている。

◆デフ・パペットシアター・ひとみ

◆今一生の著書一覧

2014年12月27日(土)18:06

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