自然エネルギーを軸に地域ビジネスの担い手を育てる官民連携の講座で、受講生が事業案を発表する会が19日、横浜市内で開かれた。優秀賞に、茅ヶ崎市内で事業者等から出た食べ物の残り(食品残さ)を活用する「地域バイオマス発電」が選ばれた。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■FITに依存せず費用回収
講座「まちエネ大学」は、経済産業省資源エネルギー庁が2013年度から官民連携で実施。14年度は9月から横浜、京都、秋田など5都市で開講している。「神奈川・横浜スクール」では33人が受講。グループに分かれて6つの事業計画案を練った。
優秀賞に選ばれた「茅ヶ崎エコプロジェクト」は、学校や食品工場から出た食品残さを活用する案。回収した残さをプラント施設で発酵させ、発生したメタンを燃料に発電と熱供給を行う。発電出力は1200キロワットで、発酵かすも肥料として販売する計画だ。
3億円の事業予算は15〜20年で回収するが、固定価格買取制度(FIT)による売電には依存せず、残さの排出事業者から得る処分費でまかなう。そのため、売電や肥料の販売で得られる収入をそのまま利益にできる。
グループを代表して同案を発表したのは、市内で廃棄物運搬業を営む菅野恒宏さん。「地域の中でシステムが回っていることが評価されたのでは」と勝因を分析する。FITについては「あえて考えなかった」という。
「地域の協力抜きには実現できない。『おらがまちのエネルギー』を実現したい」(菅野さん)。20年の事業化に向け意欲を見せた。
■参加者、制度変更を意識
講座期間中、9月には電力会社が相次いで自然エネルギー電力の新規接続を保留することを表明。これを受けて経産省は、出力抑制を柱としたFITの見直しに着手した。
12月に示された案では、500キロワット以下の太陽光と風力も新たに出力抑制の対象にするなどの内容が示された。これには神奈川県の黒岩祐治知事も「太陽光発電の普及にブレーキがかかる」と反発していた。