パリの銃撃テロを、新たな9.11にしてはならない。[関根 健次]

関根 健次
ユナイテッドピープル株式会社 代表
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時を同じくして14日に、「シャルリ・エブド」誌は大幅増刷をしている。偶像崇拝が禁止されているイスラム教の預言者・ムハンマドの風刺画を再び特集する特別号を発行した。死者を出す原因となった雑誌を、事件からわずか1週間後に再び発行する行為は「油を火に注ぐ」行為であり、問題を悪化させるだけではないだろうか。

決死の覚悟でテロを起こさせるほど相手を追い詰める表現を続けることは、正しいことなのか。「表現の自由」には制限がなくていいのか。

例えば、もし、天皇陛下が風刺の対象になったとしたら、それでも「言論の自由」だと胸を張っていられる日本人はどれほどいるのだろうか。

銃撃テロの後、日に日に戦争への足音が大きくなっていくフランス。本当にこのまま突き進んでいいのかどうか、一度冷静になって、じっくり考えなければならないだろう。

もともとイスラム国を生み出したのは、9.11後にアメリカと有志連合が行った嘘だらけの大義によるイラク侵攻が発端だったと思い出さなければならないとも思う。2003年の開戦以後、イラクでは10万人を超える人々が殺害され、家を失い、仕事を失い、平和に生きる権利を奪われた。

憎しみからは、憎しみが生まれる。9.11の後に起きたのは、人々の分断だった。再び、世界は分断されてはならない。

希望はある。フランスには、世界中から移民を受け入れて来た歴史がある。元来多様性を受け入れる寛容な国だったはずだ。

私は、人と人をつないで世界の問題解決に取り組む企業、ユナイテッドピープルの代表だ。当社は、社会課題に目を向けるきっかけづくりとして映画の配給を行っている。奇しく1月末に公開する映画『バベルの学校』は、そんな多様性を受け入れて来たフランスのパリにある中学校を舞台とした映画だ。

(c)pyramidefilms

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登場するのは、様々な理由でフランスに移民してきて集まった世界20ヶ国から24人の生徒たちだ。肌の色や国籍、宗教、そして物の考え方、何もかもバラバラな子どもたちが共に1年間学ぶ。そこにはイスラム教の子どもも、ユダヤ教やキリスト教の子どもたちもいる。

http://player.vimeo.com/video/114641603

時にぶつかりながらも、子供たちは純粋な心で根本的な質問を投げかけていく。

「神様はいる?」
「自分の宗教を信じるべきなの?」

そして深い絆で結ばれていく。

(c)pyramidefilms

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世界中の大人たちが、もし『バベルの学校』に出てくる子供たちのような眼差しで世界を観て、お互い付き合えたら、きっと戦争は起きないだろうと思う。

もっと互いをよく理解しようと試みればいい。いや、ただ単純に友達になることができればいい。友達になれば、相手を絶望させるような行為や、言葉は使わない。

『バベルの学校』は、私たちが生まれながらどんなに境遇が異なっても、理解し合い、友情を育むことができるという希望を見せてくれる。

私たちは、恐れによって心を支配され、分断されてはならない。今回のテロがきっかけで、私たちがますます分断されないことを願ってやまない。

映画『バベルの学校』
http://unitedpeople.jp/babel/

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関根 健次
ユナイテッドピープル株式会社 代表
ベロイト大学経済学部卒。2002年にユナイテッドピープル株式会社を創業し、世界の課題解決を目指す事業を開始。募金サイト「イーココロ!」を運営。2009年から映画配給事業を開始。2011年から一般社団法人 国際平和映像祭を設立し国連が定めたピースデー9月21日に合わせて国際平和映像祭(UFPFF)を主催している。2013年よりピースデージャパン共同代表。著書に『ユナイテッドピープル』も。

2015年1月27日(火)19:34

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