2030年までに「貧困ゼロ」を――ノーベル平和賞受賞者・ムハマド・ユヌス氏インタビュー

■ MDGsを早期に達成

ソーシャル・ビジネスを語るユヌス氏と福井氏

――2030年までに全世界から貧困をなくすことを目指されていますが、現時点でどのくらい達成していますか。

バングラデシュでは素晴らしい効果が出ています。国連のミレニアム開発目標(МDGs)では、1990年と比較して1日の収入が1ドル未満の人口比率を2015年までに半減することを目標にしていますが、バングラデシュでは2013年6月に達成しています。

2030年までに「貧困ゼロ」を目指していますが、できる限り早い段階でそれを達成したいと考えています。

――大企業は、素晴らしい社会的なプロジェクトを立ち上げる一方、時には環境問題や児童労働問題を引き起こすこともあります。グラミン銀行は多国籍企業とパートナーシップを組んでいますが、そうした大企業に期待することは。

それぞれの企業が社会に良いことをしたいという意志を持っていますが、ミッションの外側で行っていることがあります。

多くの企業のミッションは、「利益の最大化」。そうなると、企業として社会的な活動をしようと思っても、時間が足りなかったり、エネルギーを注ぐことができなかったりします。

企業には、2つの選択肢があります。一つは、企業そのものをソーシャル・ビジネスにすること。もう一つは、いまの会社や事業を続けながら、ジョイントベンチャーや100%子会社を立ち上げ、ソーシャル・ビジネスを実践することです。

――日本企業にはもともと、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」という考え方があります。長い人類の歴史のなかで、西洋型の今のビジネスの歴史はわずか100年程度です。もともと世界中で「三方よし」のように、社会を意識した考え方があったと思いますが、いかがでしょうか。

「三方よし」という考え方は、とても良いことです。文化や歴史を組み込みながら、会社が発展してくことは素晴らしい。

西洋の考えに基づいた資本主義をそのまま日本のなかで適用することに無理があります。日本では、自分の利益の最大化を志向する風潮がありますが、それは本当の資本主義ではないのです。

日本の文化のなかで進めていくということが大変重要だと思います。

■「無私」の自分に気付く

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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