ゲレンデを森に還し、スキー場跡地林業は可能か[岩崎 唱]

日本のスキーブームはバブル期とほぼ重なる。スキー人口のピークは1993年で、その数は約1800万人といわれ、以後減り続け2012年では最盛期の3分の1にまで減少している。もっとも2015年のソチ冬季五輪を契機に若干人気を取り戻してきているようではあるが、以前のような趨勢はない。少子高齢化、若者のクルマ離れ、温暖化による雪不足など、人気衰退の直接的な原因が何にあるのかはわからないが、廃業するスキー場も多い。このゲレンデに植林し、森に還す活動が始まっている。(NPO法人森のライフスタイル研究所=岩崎唱)

植林を終えたゲレンデ 長野県長和町 和田峠スキー場跡地
植林を終えたゲレンデ 長野県長和町 和田峠スキー場跡地

スキーシーズンが始まっている。今年は、まずまずの積雪量があるようでスキーファン、スノーボードファンにとっては嬉しいことだろう。さて、日本には一体どのくらいの数のスキー場があるのだろう。Wikipediaに日本のスキー場というページがあったので強引に記載してあるスキー場を数えてみると754ヵ所もあった。その中で廃止または休業となっているのが153ヵ所。

別の資料(※)では、2005 年までに約680ヵ所のスキー場が開発されたが、2007年までに約140ヵ所が閉鎖または休業していると出ていた。最盛期に比べて5分の1から4分の1のスキー場がなんらかの事情で廃止になったり、休業したりしている。NPO法人 森のライフスタイル研究所でも、廃業したスキー場を森へ還す活動を行っている。

長野県長和町にある和田峠スキー場は1977年に長和町(当時は和田村)が国有林を借り受けて開設した。ゲレンデは広くないが、標高が高いので雪質は良かったそうだ。しかし、交通の便があまり良くなかった。和田峠といえば中仙道最大の難所といわれた標高1500mを越える峠だ。雪不足や若者のスキー離れもあって1998年のシーズンを最後に、営業を休止した。本来は町(当時は村)に繁栄をもたらすはずのスキー場だったが、逆に負の遺産となってしまった。

※日本スキー人口はどこまで滑落するのか? 専修大学商学部教授 大林守氏

フリーランスのコピーライター。「緑の雇用担い手対策事業」の広報宣伝活動に携わり、広報誌Midori Pressを編集。全国の林業地を巡り、森で働く人を取材するうちに森林や林業に関心を抱き、2009年よりNPO法人 森のライフスタイル研究所の活動に2018年3月まで参画。森づくりツアーやツリークライミング体験会等の企画運営を担当。森林、林業と都会に住む若者の窓口づくりを行ってきた。TCJベーシッククライマー。

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