■取り締まりの強化ではなく、適正な審査を早急に
難民認定制度の上では、申請から6カ月が経てば、申請者は就労できることになっている。申請が認められなかった場合でも、再び申請することができる。読売新聞は2月4日、就労を目的とした難民申請の「偽装」「悪用」「濫用」が横行していると報道したが、これに対し、JARは次のように述べている。
「制度を悪用した難民申請者は私たちも支援対象としていません。ただ、具体的に濫用の明確な定義もないまま、特定の国から偽装申請が横行しているといった報道には懸念を覚えます。現在の厳しい制度を前提に、不認定となった人がすべて根拠なく、濫用であったと捉えられるとすれば、大きな問題。2013年の難民認定数は6人でしたが、私たちが日々相談を受ける中で、さまざまな迫害から逃れてきた人々は少なくありません」
「『濫用者』が取り上げられると、いかに取り締まるか、 という視点が強くなりがちです。しかし、難民認定制度は迫害から逃れてきた人を守る貴重な仕組みです。『早急に難民認定が必要な人々』が受け入れられ、濫用のみを目的とした者にとっては 魅力がないようにすること、すなわち適正な審査をできる限り早急に実施できる制度を構築することが必要だと考えています」
現在、JARは「READY FOR」で支援を募っている。費用は、食品や下着、靴下などの衛生用品、宿の手配などに充てられる。すでに目標金額の100万円には達したが、2月23日まで支援を受け付けている。
2月20日には、セミナー「難民を学ぶ夕べ――コミュニティ支援の現場から」をソーシャルビジネスラボ(東京・中央)で開催する。申し込みは、同団体の公式サイトまで。
◆日本に逃れてきた難民の最低限の生活を守る緊急支援を届けたい!(READYFOR)
◆難民申請の「偽装」「悪用」「濫用」等に関する報道について(全文)