「ご当地キャラ」から学ぶ、地方創生のヒント [笹谷 秀光]

具1グランプリは、2014年で4回目を迎えました。入賞対象の「具」の内容の表を見てください。これは何のコンテストかおわかりでしょうか。

2014年11月3日実施「具1グランプリ」受賞と「具」の内容(淡路市ウェブサイトより筆者が作成)
2014年11月3日実施「具1グランプリ」受賞と「具」の内容(淡路市ウェブサイトより筆者が作成)

コンビニが協賛しているところが一つ目のポイントです。二つ目は、入賞内容に注目してください。
この二点から、「あーそうか、おむすびコンテストなんだ」とおわかりになった方は、社会的感度が高い方でしょう。コンビニ社といえば「おむすび」は代表的商品で、具の内容は淡路市の名産品「たまねぎ」「たこ」「じゃこ」などが入賞しています。つまり、地産地消のための「おむすびコンテスト」なのです。

この企画のすばらしさは、単なるイベントに終わらせず、入賞したおむすびをコンビニ社が「あわ神・あわ姫」のイラスト付きで限定商品として販売していることです。ご当地キャラもうまく活用して、企業の本業ビジネスにつなげ、有力な地域活性化方策として今後も育っていくことが期待されます。

■ キャラ活用の「三方よし」

近江商人の経営理念に「三方よし」――「売り手よし、買い手よし、世間よし」――があります。
「あわ神・あわ姫」と「具1グランプリ」の組み合わせは、企業も参加・協力できる「三方よし」につながる仕組みです。

「売り手」のコンビニ社にとっては、イベント協賛で企業イメージ向上が図られ「あわ神・あわ姫」のキャラをパッケージに貼った限定おむすびで商品差別化ができ、売上げ向上につながります。

「買い手」の消費者は、イベント参加で楽しく地域産品を学び、限定おむすびを購入すれば地域活性化への応援消費になります。

「世間」にとっては、淡路市の地産地消や地域活性化効果につながります。このように「三方よし」が成り立っています。

その上、「具1グランプリ」はみんなで淡路市の名産品を実践的に学ぶ「食育」にもなっています。入賞者は地元の大学生や高校生であり、このような経験をした学生が地域振興の次の担い手に育つのです。

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笹谷 秀光(CSR/SDGsコンサルタント)

東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年~2019年4月伊藤園で、取締役、常務執行役員等を歴任。2020年4月より現職。著書『CSR新時代の競争戦略』日本評論社・2013年)、『協創力が稼ぐ時代』(ウィズワークス社・2015年)。『 経営に生かすSDGs講座』(環境新聞社・2018年)、『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版社・2019年)。 笹谷秀光公式サイトー発信型三方よし 執筆記事一覧 

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