NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)は、東日本大震災と東電原発事故から4年となる11日にメッセージを発表した。この中で、政府のエネルギー政策について「未曾有の国難に直面した国とは思えない」と批判。「地域でエネルギーを自ら生み出すことは地域を豊かにする」として、地域にエネルギー政策の権限委譲を進めるよう訴えている。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■地域でエネルギー自給「経済効果以外にも」
メッセージでは、3・11という「大きな不幸」の中でも「省エネ・節電の成功」「FIT(自然エネルギーの固定価格買取制度)の成立」「原発神話からの脱却」という「三つのささやかな幸い」があったとする。
ところが政権交代で安倍内閣が誕生し、エネルギー政策は「原発復権へと再び逆走」。再稼動手続きや、電力自由化を見据えた「CfD(原発版固定価格買取制度)」の検討など「乱暴ともいえる手続きで原発復権の道筋が付けられようとしている」と指摘する。また、総量規制と無制限・無補償の出力抑制を柱とするFITの見直しを「制度改悪」と批判した。
一方で3・11以後、「エネルギーと地域自立との関心を深めてきた日本中の地域で、会津電力(福島・喜多方市)など、続々と『ご当地電力』が登場している」と評価。地域でエネルギーを自給することは地域経済への貢献に加え「参加と実践が生む社会的エンパワーメントと政治参加感、そして希望を生み出せる」としている。