国連防災会議に出席して[村田 光平]

■東京五輪と福島事故

今回の国連防災会議で日本側の福島事故隠しの思惑が露呈し、東京五輪もこれに利用されているとの指摘が内々聞かれだす中で、米国のスポーツ経済記者Andrew Zimbalistの「オリンピック及びワールド・カップの主催は巨大なギャンブル」と題する著書の論点を紹介したエコノミスト誌(2月28日号)の記事を入手しました。早速会議の合間に要旨をまとめました。IOCおよびFIFAの今後の在り方に影響を与えることは必至と思われます。

同記事の次の諸点が注目されます。IOCのテレビ収入は1960年から1980年の間は4%以下であったが今や70%以上となっております。北京五輪、ロンドン五輪が開催された時期の外国からの来訪者は前年の同時期の来訪者の数を下回るものでした。

主催国が負担する経費は当初の見積もりの4倍から10倍になっております。
建設された施設の事後活用の一例として40000人収容出来るブラジルのフットボール会場に試合ごとに集まるのは1500人程度です。

2004年五輪には12カ国が立候補しまたが2020年五輪には5カ国となりました。2022年の冬季五輪には北京及びAlmaty(カザクスタン)のみとなりました。2012年オランダ政府が委託した委員会は主催経費を負担できるのは非民主的独裁国家のみとなるとの展望を含む報告をしております。

Zimbalist氏はIOC 及びの FIFA の透明性の向上、委員の任期制などを含む抜本的改革を求めております。

本記事が東京五輪にどのような影響を与えるのかが注目されます。伝えられる韓国及びブラジルの資金不足の窮状は今後の帰趨と無関係ではなくなりつつあります。

東京五輪と福島事故が表裏の関係にあることが広く認識されるに至りました。 深刻度を深めつつある福島第一の汚染水問題を抱えながらの危機感の欠如はあまりにも異常です。

事故処理に最大限の努力を傾注するための名誉ある撤退を決断することが緊急課題になったと思われます。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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