インターネットを利用してNGOやNPOに無料で募金できるサービス「イーココロ!」が31日で運営を終了する。ユナイテッドピープル(福岡市)が2003年に立ち上げ、これまでに1億1千万円以上の募金を集めた。寄付先は延べ約140団体に上る。同社では「一定の役割を果たせた」としている。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■「寄付文化が成熟迎えた」

イーココロ!は協賛企業との提携により、利用者がネットでの買い物やクリックを通じて、獲得ポイント数に応じた募金ができるサービス。「クリック募金」ができるサイトとしては草分け的存在として知られる。
「どんどん類似サービスが生まれることを希望しながら運営してきた」と、ユナイテッドピープルの関根健次代表は話す。NGOとNPOに寄付金が集まることに加え、これらの団体が活動する背景にある社会問題に人々の関心を向けさせるのが目的だった。
関根氏の願い通り、ネット上では募金サービスが相次いで登場。また東日本大震災を通じて、クラウドファンディングに代表されるネット利用の市民出資も一般化した。関根氏は「寄付文化が成熟を迎えたと実感した。一定の役割は果たせた」と、サービス終了を決めた。
■映画通じ「つながり」創出へ
その一方で関根氏は、以前から「寄付だけでは足りない」とも感じていた。「戦争が起きたら、支援して築き上げてきたものが一瞬で破壊される。寄付するだけでなく、寄付を必要とする状況が生じないよう、一人ひとりが変化していく必要がある」と関根氏。
「映画は単に新しい発見や感動などが得られるだけでなく、人とのつながりを深めることができる道具だ」(関根氏)として、09年からは映画事業にも着手した。
同社は今後、映画事業に力を入れる。昨年は市民上映会の開催を支援するサイト「シネモ」を開設。このほか、教育現場での映像上映や、映画製作なども手掛けていくという。