世界動物園水族館協会(WAZA)は4月22日、日本動物園水族館協会(JAZA)を会員資格停止にしたと発表した。国際的に非難が高まっている「追い込み猟」によって捕獲したイルカを日本の水族館が購入し続けていることについて、是正措置を取らなかったため。日本の動物愛護団体はこの措置を概ね評価している。(編集部=辻陽一郎)
WAZAはこれまで、追い込み猟によるイルカ調達を中止するようJAZAと水族館など加盟団体に働きかけてきた。だが、日本のNGOによると、これに対してWAZAの具体的な措置はなかった。
今回の通告は、これまでのWAZAの立場からは一転した内容だった。8月に開いたWAZA・JAZA・NGOの三者会談でも、WAZAの見解は「生体捕獲を食肉用の捕獲と区別すれば、動物福祉の点からも問題ない」という内容だった。
今回のWAZAによる資格停止の根拠は、「倫理規範及び動物福祉に違反している」となっており、「動物の福祉」の視点を明確に打ち出したと言える。
日本の動物保護NGO「海・イルカ・人」「PEACE」など5団体は、今回のWAZAの措置を評価している。JAZAの「除籍」ではなく資格停止処分にとどめたことで、JAZAに対応の余地を残したため、今後イルカ猟の討議が進展することが期待されるからだ。
日本には64カ所の水族館(JAZA加盟)があり、このうち約半数でイルカを飼育、イルカショーを開催するところもある。今回は、水族館によるイルカの調達方法が問題となったが、一部では、イルカショー自体が動物愛護に反しているという意見もある。
JAZAの長井健生専務理事は「突然の資格停止には大変心外だ。昨年8月には捕獲方法を区別すれば問題ないと話していた。追い込み猟自体が問題だという科学的根拠を示してもらいたい」と話す。イルカショーで有名な横浜・八景島シーパラダイスの担当者は「個々(JAZA加盟団体)での意見は控えたい」と話した。