[書評:CSR経営パーフェクトガイド] 日本企業が目指すべき「本来のCSR経営」とは

■社会的課題を理解し、マテリアリティを特定する
「本来のCSR」を実践する一つの方法が、「社会基点」でのアプローチだ。企業の存続可能性から社会を見る「企業基点」ではなく、社会的課題を広く理解し、社会の持続可能性から企業を見るのが「社会基点」だ。

「企業基点」を脱却し、「社会基点」を成功させるには、社会的課題と自社特性の関連性を見極めること(マテリアリティの特定)が最大のポイントだ。

川村主席研究員は、「社会的課題を特定するための基本は『CSRデューデリジェンス』だが、効果的なのは、ステークホルダーとの対話(エンゲージメント)。対話することで、社内にはない視点・論点が見えてくる」と話す。

さらに大事なことは、「『マテリアリティの判断基準』を事前に企業が策定しておくこと」だと言う。

途中で判断が揺らがないように、自社の経営戦略に照らし合わせ、特に海外事業の様々なリスクマネジメント(社会的課題のビジネス・インパクト)の優先順位などとの関係から決めていく。

そして、短期・中期・長期の時間軸に沿って、自社の重要なCSR取り組み課題を特定することが重要だという。

本書では、「本来のCSR経営」をどのように経営に落とし込むのか、その実践的な手順が丁寧に解説されている。CSR担当者だけではなく、すべてのビジネスパーソンに読んでほしい一冊だ。

◆『CSR経営 パーフェクトガイド』(川村雅彦、ウィズワークス)http://wis-works.jp/books/581/

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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