カナダ、米国で化粧品の動物実験を廃止する法案が提出

現在、化粧品の動物実験の実施をやめている国は30か国以上にのぼる
現在、化粧品の動物実験の実施をやめている国は30か国以上にのぼる

カナダ議会で6月18日、米国議会で6月23日、化粧品の動物実験を取り締まる法案が提出された。EU(欧州連合)に続き、主要な化粧品市場である北米でも化粧品の動物実験廃止の準備が着実に進められている。(オルタナ編集部=佐藤理来)

カナダ議会で提出されたCruelty-Free Cosmetics Act (クルエルティー・フリー化粧品法)は、国内での化粧品における動物実験禁止と、新たに動物実験を行った化粧品の販売禁止を求めるものだ。可決されれば、輸出入を含めて完全禁止しているEUと同等の規制基準になる。

一方、米議会で提出されたHumane Cosmetics Act(人道的化粧品法)は、化粧品とその原料の動物実験の実施と新たに動物実験が実施された化粧品の販売が段階的に禁止されることになる。法案の発案者は、超党派の議員だ。

化粧品の動物実験廃止に取り組む国際NGOのヒューメイン・ソサエティ・インターナショナル(HSI)によると、「日本、カナダ、米国の化粧品当局は、化粧品規制協力国際会議(ICCRなど)の国際的な取り組みで協力関係にあるため、今回の規制改正は日本にとっても影響力があることが予想される」という。

ICCRとは、ブラジル、カナダ、欧州連合、米国、日本が加盟する化粧品に関する基準を決め、貿易障壁などを減らすための国際組織だ。

HSIの#BeCrueltyFreeキャンペーンのディレクターのクレア・マンスフィールドは、「口紅やシャンプーなどに使われる化粧品の原料の試験において、生きている動物を使うことは倫理的に許されない。また、科学的な根拠も不十分。すでに何百もの化粧品ブランドが、動物を一匹も傷つけずに化粧品を製造しており、30カ国以上の国が既に化粧品の動物実験を禁止しています。米国にもぜひ追い付いて#BeCrueltyFreeの動きに加わってほしいと思っています」とコメントしている。

現在ブラジル国内で化粧品のための動物実験は禁止となっており、ICCR加盟国のなかで、化粧品の動物実験に関する規制や、提出済みの法案がないのは日本だけになる。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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