[書評:新しい公共空間のつくりかた]企業が加わり「経営」する公共の姿

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■弱者を排除しない公共は可能か

本書では民間参加による公共空間づくりで、先駆的な成果を上げる6人にインタビュー。その中で一般にも知名度が高いのは、前佐賀県武雄市長の樋渡啓祐氏だろう。

スターバックスカフェとレンタルショップのツタヤを併設した「武雄市図書館」は、官民連携による公共施設として全国的な知名度をもつ。市は負担する年間コストを圧縮しながら賃料収入も得られ、民間委託前と比較して年間利用者数で約3倍、貸出冊数も1.4倍(いずれも2014年度)と伸びている。

著者は、民間参加による公共空間づくりのキーワードとして経営・運営・合意形成・企画設計・収益化・情報発信の6つを挙げる。民間参加による公共空間作りを、著者は「競争原理とは違う何かが働く資本主義」(15頁)「新しい民主主義」(143頁)と呼ぶ。

一見、いいことづくめに見える。しかし社会的弱者が、例えば収益化の枠に収まらないことを理由に公共空間から排除される、という危うさはないだろうか。行政だけで公共空間を維持するのは難しいにせよ、新しい公共空間では弱者をどう包摂するのか。「新しい民主主義」を標榜するのであれば、その点に踏み込んだ議論も欲しかった。

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2015年7月22日(水)10:31

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