これからの企業とNGOのパートナーシップ――ビジネスと子どもの人権(5)[金谷 直子]

世界的なCSRの動向のなかで主流化してきた人権への取り組みだが、子どもの権利と企業の責任を明確につなげる枠組みとして、「子どもの権利とビジネス原則」(CRBP)が2012年3月に発表された。シリーズ「ビジネスと子どもの人権」では、「CRBPの10の原則」を分かりやすく説明していく。第5回は原則4を扱い、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの東日本大震災復興支援事業・CSPマネージャーの金谷直子氏に執筆してもらった。

直接・間接を問わず企業活動は子どもにも影響を与える。CRBP原則4は、子どもを守りSOSを見逃さないための仕組みづくりを訴えている
直接・間接を問わず企業活動は子どもにも影響を与える。CRBP原則4は、子どもを守りSOSを見逃さないための仕組みづくりを訴えている

教育・保育事業や子育て支援というと、かつては自治体や福祉法人の担うところが大きかったが、今や様々な企業がこの分野でビジネスを手掛けている。塾や英会話スクール、スポーツ教室などでは多くの実績があるし、企業が保育園運営に参入することで待機児童の減少に期待をかける向きもある。

また、子どもにターゲットを絞ったビジネスでなくても、様々な企業活動や従業員の振る舞いが直接・間接的に子どもたちに影響をおよぼしている。企業施設の一角で子どもが犯罪に巻き込まれたり、インターネットを介した匿名性の高い誘惑や落とし穴が子どもの日常にまで侵出したりしているのはその例である。この時代に子どもの安全と尊厳はいかに守られるべきなのだろうか。

■「子どもの権利とビジネス原則」(CRBP):原則4
「全ての企業活動および施設等において、子どもの保護と安全を確保する」は、あらゆる企業活動において子どもの安全を担保し、虐待や搾取のリスクを排除することを目指すものである。

具体的には、施設利用のあり方を見直したり、従業員教育により予防を促したり、予兆やSOSを見逃さないための仕組み作りをいう。特に子どもをサービスの受け手として活動する場合は、会社の信頼やビジネス存続にかかわる重大な問題でもある。

直接子どもを顧客対象としない企業にとっても、その営利活動が社会に受け入れられ持続的に発展するために必要な視点となりうる。ビジネスが子どもの虐待や搾取と一体どんな関係があるのか、そして子どもを守るための企業責任として何が求められているのかを一考したい。

■ビジネスにおける子ども虐待

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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