普及停滞する太陽熱利用、後発エネルギー設備相手に苦戦

■スマートコミュニティへの導入も

こうした状況に、行政もただ手をこまねいているわけではない。都は7月から、住宅の省エネリフォームを対象に、太陽熱利用設備の導入時に最大50万円まで助成する制度を実施。2014年には太陽熱利用のエネルギー変換効率の高さに注目した啓発キャンペーン「熱は熱で」を行った。

「普及を伸ばすには、太陽熱利用の知名度を高める必要がある」と都環境局の担当者。ただしPR活動の効果は「検証しておらず不明」という。

一方、地域内でのエネルギー利用を最適化することでエネルギー消費を削減する「スマートコミュニティ」に太陽熱利用を導入するのは岐阜県瑞浪(みずなみ)市だ。

市はユアサ商事と共同で、住宅地「ガーデンシティ瑞浪学園台」の新規街区約300区画に分散型エネルギーシステムを導入する。住宅4〜5棟に1棟の割合で、屋根に太陽熱集熱器を設置。得られた温水をタンクに貯め、各住戸で利用できるようにする。

ソーラーパネルや太陽熱利用設備などを複数世帯ごとに共有することで、自然エネルギーや未利用エネルギーの利用を最適化するねらいがある。市は「エネルギーの地産地消を進めたい」を説明している。

無尽蔵な太陽エネルギーをお湯に変換し、しかも燃料を消費しない太陽熱利用の利点はもっと見直されてよい。ちなみに太陽熱温水器は、エネルギー変換効率で市販品に劣るものの、ペットボトルや塩化ビニル管などを用いて安価に自作もできる。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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