電力自由化控え、自然エネ新電力登場――事業環境は厳しさ増す?

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来年4月の電力小売全面自由化で、一般家庭でも電力会社を選べるようになる。これを控え、自然エネルギー電力の販売を表明する新電力会社(PPS)が登場。一方で国が同時に検討を進めるFIT(自然エネルギーの固定買取価格制度)の制度変更により、これら新電力の事業環境は厳しくなるとみられる。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

■家庭でも電力会社を選べるように

「パワーシフト・キャンペーン」シンポジウムに登壇した自然エネルギー新電力各社=21日、都内で

「パワーシフト・キャンペーン」シンポジウムに登壇した自然エネルギー新電力各社=21日、都内で

電力小売完全自由化を通じた自然エネルギーの普及を目指す市民団体「パワーシフト・キャンペーン」は19日、自然エネルギー電力を販売する新電力を公表。「エヌパワー」(愛知県清須市)、「エナジーグリーン」(新宿区)、「うなかみの大地」(千葉県旭市)、中之条電力(群馬県吾妻郡)、「生活クラブエナジー」(新宿区)の5社だ。

5社はいずれもキャンペーンが重視する「電源構成や環境負荷などの情報を開示していること」「自然エネルギーからの調達を中心とする」「原発や火力発電から調達しない」などの条件を満たしているという。この内、「うなかみの大地」「生活クラブエナジー」は生協組合員向けに電力を販売。他3社は来年4月以降、順次一般家庭への販売を予定している。

21日にキャンペーンが都内で主催したシンポジウムには、内4社が登壇。主催者は「自然エネルギー電力を販売する新電力が一堂に会することは画期的」と強調した。

■自然エネルギーの電気は高くなる?

しかし国が進めるFITの制度変更は、自然エネルギー電力を販売しようとする新電力にとってハードルとなりそうだ。

一つは「電源表示問題」。FITによる自然エネルギー電力は消費者が買取費用を負担していることから、国は「二度売り」に当たるとして「グリーン電力」と表示して販売することを認めない方針だ。

また国は、FITによる電気の調達で火力発電の燃料代が浮くと考える「回避可能費用」の算定を、現在の半固定状態から今後は電力卸売市場の取引価格に連動させる。FITの買取価格は回避可能費用と、電気料金に上乗せされた「再エネ賦課金」から支払われる交付金からなる。回避可能費用が上がれば交付金は減るため、FITの買取費用は最終的に「FITの電気を使う人がより多く負担する」ことになる。

とりわけ後者は、自然エネルギー電力の料金に直結。回避可能費用が上昇すれば、経営規模の小さな新電力はその分を吸収できないことが想定される。2014年の電力卸売市場における火力発電の市場価格は、回避可能費用の1.5倍。エナジーグリーンは自然エネルギー100%の電気での回避可能費用を15円に設定し、平均的な電気料金から1~2割高い1キロワット当たり35円で販売する考えだ。

自然エネルギー電力をめぐる制度設計は複雑で、議論が市民や事業者に広く開かれているとはおよそ言い難い。「政府の方針がころころ変わる。われわれも(国の審議会で)意見を言いたい」と、シンポジウムで語ったエヌパワーの中山貴啓社長。今後の見通しについて「回避可能費用の制度変更は逆風だが、自然エネルギーを普及させるためにはわれわれが努力するしかない」と述べた。

自然エネルギー電力の料金上昇は、自然エネルギーの普及を停滞させかねない。パワーシフト・キャンペーンは回避可能費用に関して「自然エネルギーを中心に販売しようとする電力会社の経営が困難になる」として、当面は現行制度を維持するよう国に求めている。

2015年9月24日(木)13:04

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