14カ国25人の若手社会起業家ら、「三方よしの商都」に集結

次世代リーダーのグローバル・ネットワークを構築する一般社団法人NELIS(ネリス/Next leaders’ Initiative for Sustainability)は10月16日から3日間、6大陸14カ国25人の若手社会起業家らが集まるNELIS世界大会を滋賀・近江八幡で開催する。同団体はサステナブル(持続可能な)社会の実現に向けて、世界の次世代リーダーをつなぎ、育てることを目指す。最終日の18日は、一般参加も可能だ。(オルタナ副編集長=吉田広子)

NELISの発表会で。右から共同代表のピーター・ピーダーセン氏、近江八幡商工会議所の秋村田津夫会頭、和菓子「たねや」の山本昌仁社長とインパクト・ハブ東京の槌谷詩野代表
NELISの説明会で。右から共同代表のピーター・ピーダーセン氏、近江八幡商工会議所の秋村田津夫会頭、和菓子「たねや」の山本昌仁社長とインパクト・ハブ東京の槌屋詩野代表

「SDGs(持続可能な開発目標)が国連で採択されたが、本当に環境問題が解決されるのか、『持続可能な開発』が実現できるのか疑問だ。富の集中は続き、2016年には世界の人口の1%の富裕層が、残りの99%の資産の総額を上回るとされている。サステナブル社会を実現するためには、新しい価値観を共有する次世代リーダーが力を合わせることが必要だ」

NELIS共同代表のピーター・ピーダーセン氏は、発表会でこう語った。NELISは、ピーダーセン氏のほか、近江八幡商工会議所の秋村田津夫会頭、和菓子「たねや」の山本昌仁社長が共同代表を務め、2015年1月に設立された。

秋村会頭は「グローバルに活躍する人材を育成し、社会を変えていくようなネットワークにしていきたい」と力を込める。山本社長は「和菓子は自然の恵みでできており、自然に学ぶ姿勢が大切だ。次世代のために何ができるのかを考えながら、和菓子づくりを続けていきたい」と話した。

■地方発のグローバル・ネットワークに期待
10月のNELIS世界大会は、世界をリードする社会起業家やジャーナリスト、NGO職員らが、より大きな社会変革力を発揮できるように、若手リーダー同士がつながり、学び合うことを目的としている。1日目、2日目はリーダー同士で議論し合い、3日目は一般向けのパブリック・フォーラムを立命館大学びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)で開催する。

開催地である近江八幡は、売り手よし・買い手よし・世間よしの「三方よし」の経営哲学で知られる地域だ。

「NELISは日本の地方発のグローバル・ネットワークとして、例のない取り組み。小さな小さな一歩だが、新しいアプローチが始まった」(ピーダーセン氏)

世界大会に参加するインパクト・ハブ東京の槌屋詩野代表は、「地域とグローバルが直接つながり、集まり、知が蓄積されていることにわくわくしている。日本、特に地方ではリーダーシップについて議論する機会が少ない。このネットワークが社会のうねりになることを期待している」と意気込みを語る。

インドから参加するサステナビリティ・コンサルタントのシュラヴァン・シャンカーさんは、インドの若手起業家のエンパワメントに取り組んでいる。

「NELISのコンセプトで、特に気に入っているのはアクション思考。グローバルなビジョンを持ちながら、ローカルなレベルで取り組んでいく。みんなでアイデアを出し、自分の分野に落とし込んでいく。起業家だけではなく、様々な分野で活躍する人に会えることを楽しみにしている」と話した。

2016年は、ケンブリッジ大学、シューマッハカレッジの協力を受け、英国で開催される予定だ。その後は、北南米、欧州、アフリカ、オセアニア、アジア各地での開催を予定している。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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