環境保護団体WWFジャパンは15日、2020年に開催する東京オリンピックに向けた提言を発表した。提言は、低炭素と調達方法に重点を置き、持続可能性のある社会を目指す内容。人類の消費活動によってこの40年で生物多様性は半減しており、持続可能性を意識した社会への転換が必要だと説明した。(オルタナ編集部=佐藤理来)
提言では、2050年までにCO2排出量を80%削減することや、責任ある調達を根付かせることを求めた。木材・パーム油・水産物など具体的な調達コードも盛り込んでおり、同内容の提言書を6日に「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会街づくり・持続可能性委員会」にも提出している。
同団体は発表のなかで、「One Planet, One Future」というキャッチコピーを提唱。現在人類は1年間に地球約1.5個分に相当する生態系サービスを利用しており、年々消費は拡大している。
WWFインターナショナルのマルコ・ランベルティーニ事務局長は、「4年に1度のオリンピックという機会を社会変革の場とすべき」と発表。日本にはMSCやASCといった持続可能性のある調達を示した認証を取得した製品がまだ少ないが、具体的な実践例を作ることで「『持続可能性のある社会』というレガシーを築くチャンス」だと説明した。
2016年のリオ・デ・ジャネイロオリンピックは、「健康で持続可能な食品調達」が提唱されており、2020年に開催する東京オリンピックではさらに進んだ取り組みが必要だ。WWFジャパンの筒井隆司事務局長は「持続可能のある調達方法かどうかを確認し、透明性を高めていく社会への転換が重要。まずは消費量の多い水産物(サバ、ハマチなど)を中心に、認証の普及を後押ししていきたい」と語った。