CSRは「選ばれて残る」組織に不可欠―― 千葉でCSRサミット

千葉県を中心とした産官民の有志が、10月20日に「千葉CSRサミット2015〜ポスト2020を生き抜く力〜」を開催した。東京オリンピックが終わる5年後を見据えた社会的責任(SR)がテーマ。行政や企業・NPO、個人など多様な主体が集まり、語り合った。(オルタナ編集部員=瀬戸内千代)

講演する泉貴嗣氏
講演する泉貴嗣氏

まず、主催の「千葉CSRサミット実行委員会」委員長の関谷昇・千葉大学法政経学部准教授が講演した。関谷氏は、CSRがますます求められる背景に、人口減による税収の目減りが招く「行政の限界」があると指摘。

「補助金に頼る『地域づくり活動』は持続しない。地域あっての企業なので、市民活動団体などと連携して、地域資源の循環を充実させていくことが必要」と語った。

次に講演した同サミットのアドバイザーでCSRコンサルタントの泉貴嗣・允治社代表は、需要先取りによるオリンピック後の景気後退リスクを示唆。企業やNPOの「冬ごもり支度」として、組織を強くするSRの重要性を説いた。

さらに、「CSRのCは、企業(corporate)に限らず、市民(citizen)でも消費者(consumer)でもいい。SRは双方で分け合うもの」と語り、「営利でも非営利でも、組織に求められることは一緒。規模の大小も関係ない。自発的に社会に貢献して信頼を勝ち取ったものが従業員や消費者に選ばれ、残っていく。CSRの実践こそ、経営力だ」とまとめた。

2氏の講演後、6つの分科会と懇親会が開かれた。分科会のテーマは、「認定制度で企業が変わる、地域も変わる」「社会や地域と共に働くということ」「市民発の地方創生 魅力ある地域のつくりかた」など。先進的なCSR企業・NPOが事例を紹介して、語り合った。

一連のCSRサミットは、2013年に「中小企業CSRサミット」として、さいたま市で開催されたのが最初。その翌年は横浜市で開かれ、今回の千葉が3回目となる。さいたま市には「さいたま市CSRチャレンジ企業」認証制度が、横浜市には「横浜型地域貢献企業」認定制度がある。この流れで、千葉の新たな取り組みにも期待したい。

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瀬戸内 千代

オルタナ編集委員、海洋ジャーナリスト。雑誌オルタナ連載「漁業トピックス」を担当。学生時代に海洋動物生態学を専攻し、出版社勤務を経て2007年からフリーランスの編集ライターとして独立。編集協力に東京都市大学環境学部編『BLUE EARTH COLLEGE-ようこそ、地球経済大学へ。』、化学同人社『「森の演出家」がつなぐ森と人』など。

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