制度や施策ではない創意工夫を!――ダイバーシティの現状(6)[山岡 仁美]

旧三本の矢のひとつ女性活躍推進や若者の雇用開発支援、新三本の矢のひとつ介護離職ゼロ、などは、育児中の女性、非正規社員やニート、フリーター、家族に要介護者がいる人たちのような、それぞれ制限のある人財を活かすことに光を当ててきました。しかしながらその道はまだまだ険しい状況です。

そのような中、私たちは、国の施策や制度をあてにしすぎない、依存しすぎないことも必要です。育児休暇や介護休暇が普及しても、実業務の生産性が下がるなど、当人はじめ関係者の能力を発揮する機会が奪われては意味がありません。

ある銀行では、フルタイムの正社員から時間制限のあるパートナー社員への転換が本人の申請ひとつで適い、しかも正社員もパートナー社員も同等級として組み込まれているため、昇進や昇格にハンディキャップがないという工夫を設けています。

弊社のクライアント事例では、育休・介休取得者や時短勤務者が、同僚などフルタイム正社員にタスクの委譲・委任をした際に、ポイントを寄与しています。しかも、委譲・委任された側にも、同時にポイントが寄与されます。そのポイントは、人事評価制度と連動しているものです。つまり物理的な制限の垣根を越えて、職務遂行を図る行為を会社として評価するという仕組みを設けているということです。

創意工夫あってこそ、多様性が活かせる=ダイバーシティ推進なのです。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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