途上国と消費者の課題を同時に解決――エシカルを前面に出さないマーケティング(2)[田口 一成]

田口一成
ボーダレス・ジャパン代表取締役社長
このエントリーをはてなブックマークに追加

バングラデシュの人口1.5億人の約9割がイスラム教徒で、年に1回行われるイスラム教のお祭り「イード」では国中のイスラム教徒が牛などの家畜をアッラーに捧げます。3分の1は日ごろ肉が食べられない貧しい人たちたに分け与えるという決まりもあります。その際、大量の牛皮が発生するのです。しかしこの牛皮は多くの場合、革として輸出するにとどまっていました。これをバングラデシュ国内で製品化まですることにより、多くの雇用が生まれることに着目しました。

日本の革業界の人たちに聞くと、現在でもバングラデシュの革製品と言えば、「安かろう、悪かろう」というイメージのようです。そのイメージを払拭するためにも、なんとしても高品質の革製品に仕上げる必要がありました。

ボーダレス・バングラデシュ代表のファルク・ホセインさん

ボーダレス・バングラデシュ代表のファルク・ホセインさん

そこで、日本でもトップクラスの老舗メーカーに頼み込んで、現バングラデシュ工場代表のファルクさんが親方直々に2ヶ月間技術指導をしてもらい、日本の技術・ジャパンクオリティを学びました。

バングラデシュの工場では、仕事がない人たちや障害がある人たち、シングルマザーたちなど生活が苦しい人を優先的に採用しているため、経験者あまりいません。一から技術を教えながら、病気やケガの時はみんなで工場のみんなで医療費を出し合うなど、300名を超える大きな家族のような素敵な工場は現地でも注目されているようです。

「買い物を通して社会を良くしたい」という消費者の思いを実現する選択肢としてフェアトレードやエシカルブランドの存在は重要だと思いますし、これからもっと増えていくべきだと思います。私たちもそのようなエシカルブランドを今後立ち上げていくことはあるでしょう。

しかし、今僕らが第一優先で取り組まないといけない課題を「一人でも多くの貧しい人たちに仕事を創ること」と定めたのであれば、そこから逃げてはいけません。そのためには、大きなマーケットに挑戦し、一気に事業を拡大できる戦略を描くことが必要です。そして、一人でも多くの仕事を生み出し、家族の生活を立て直す、そして子どもたちに教育の機会と夢を与えてあげる、その実現にこだわってボーダレスメンバーたちは日々奮闘しています。

ページ: 1 2 3

田口一成
ボーダレス・ジャパン代表取締役社長
1980年生まれ。福岡県出身。早稲田大学商卒。大学2年時に、発展途上国で栄養失調に苦しむ子どもの映像を見て「これぞ自分が人生をかける価値がある!」と決意。25歳で創業。現在は、日本・韓国・台湾・バングラデシュ・ミャンマーで「人種差別」「貧困問題」「環境問題」などに対する9つのソーシャルビジネスを推進中。

2015年11月30日(月)15:54

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑