[映画評:ヤクザと憲法]反社会の実像が映す日本社会

このエントリーをはてなブックマークに追加

暴力団対策法が1991年に施行され、以降、各自治体は暴力団排除条例を制定。企業でも「反社会的勢力と一切の関係をもたない」と掲げることは当たり前となった。しかし、社会的な脅威を排除すれば、より良い社会になるのだろうか。ドキュメンタリー映画「ヤクザと憲法」(圡方宏史監督、2015年日本作品、配給東海テレビ放送・東風)は暴力団組員と顧問弁護士の日常に密着し、裏社会の実像を正面から捉え、社会はどうあるべきなのかを問うている。(松島香織)

「ヤクザと憲法」(C)東海テレビ放送

「ヤクザと憲法」(C)東海テレビ放送

作品は、2015年3月31日に東海テレビが放送した「ヤクザと憲法~暴力団対策法から20年~」を再編集したもの。取材の条件は、「取材謝礼金は支払わない」、「収録テープ等を放送前に見せない」、「顔のモザイクは原則しない」だ。

黒い鉄扉のある暴力団事務所を訪れた圡方監督は、テントの袋を見て「マシンガンではないのか」と恐々聞く。組員は「テレビの見過ぎ」と笑った。他の組員は墓参りに行き、汗だくになりながら草刈りをしていた。

彼らは銀行口座を作れず、車のローンも組めない。契約書に「反社会的勢力と関係がない」というチェック項目があり、仮に「関係ない」とすると私文書偽造罪になるからだ。

暴力団の顧問弁護を長年務めていた弁護士は、建造物損壊教唆罪で有罪を受けた。自分の事務所に戻り「社会から消えろ、と言われているようだ」と寂し気に俯く。

ページ: 1 2

2016年1月6日(水)16:18

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑