さいたま市のCSR認証制度、5年目迎え基準を刷新

さいたま市が7月26日まで、CSRチャレンジ企業認証制度の申請を受け付けている。5年目の今年度は、3年ぶりに改訂された『CSRチェックリスト第3版』に基づく初の募集となる。チェック項目が従来の3分の2に減った一方で、企業の存続に重要な組織統治と労務管理に関する項目は大幅に増えた。(編集委員=瀬戸内千代)

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『CSRチェックリスト』の最新版

60項目あるチェックリストは企業価値を「伸ばすCSR」と「守るCSR」に分かれており、改訂で「守る」項目が強化された。市内企業の99%を占める中小企業が「法を守りながら収益を上げ」、さらなる企業価値を創造することを市が応援し、CSRで地域の活力を底上げする考えだ。

『CSRチェックリスト』は、各項目の解説に加えてNPOを含む組織がCSRを実践する効能をまとめた約60ページの読み物で、同市は電子版をホームページで公開している。自己診断した結果が基準を満たす市内の中小企業は、申請して同市の審査に通れば、「さいたま市CSRチャレンジ企業」の一員となる。現在、認証企業は66社ある。

同市は、今年度の募集開始に伴い、6月23日に応募説明会を兼ねた恒例のCSRセミナーを開催した。一般財団法人CSOネットワークの黒田かをり事務局長・理事は、「持続可能性とCSR~世界の潮流から自社の成長可能性を探る~」と題した基調講演で、SDGコンパスや日本における移住労働者の人権課題、オリンピックでの持続可能な調達などについて語った。

事例紹介では、認証企業2社が登壇した。チタン加工の東京チタニウム(さいたま市岩槻区)の小澤健太専務取締役は、CSRに取り組んで得られた「出会いや学びが、自身や企業の成長につながった」と述べた。

印刷業のクレス(さいたま市見沼区)の竹堂佳紀取締役副社長も、同制度認証式での他社経営者との出会いなど、CSRを契機とする「ご縁」を強調。「異業種交流から新たな事業が花開こうとしている」と話した。地域のつながりを強める自治体主導のCSR推進の成果が、徐々に表れつつある。

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瀬戸内 千代

オルタナ編集委員、海洋ジャーナリスト。雑誌オルタナ連載「漁業トピックス」を担当。学生時代に海洋動物生態学を専攻し、出版社勤務を経て2007年からフリーランスの編集ライターとして独立。編集協力に東京都市大学環境学部編『BLUE EARTH COLLEGE-ようこそ、地球経済大学へ。』、化学同人社『「森の演出家」がつなぐ森と人』など。

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