孫正義氏が描く「アジア・スーパー・グリッド」構想

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自然エネルギー財団(東京・港)はこのほど、設立5周年記念シンポジウムを都内で開いた。シンポジウムのテーマは「世界中の電力網に自然エネルギーをつなぐ」。同財団の孫正義会長が目指すのは「アジア・スーパー・グリッド」構想だ。国内外の有識者らと共に、脱炭素社会の実現に向けた議論を交わした。(オルタナ編集部=辻陽一郎)

■実現に向けて各国と連携

「アジア・スーパー・グリッド構想」の実現を目指す孫会長(左から2番目)

「アジア・スーパー・グリッド」構想の実現を目指す孫会長(左から2番目)

孫会長は脱炭素を目指すための「アジア・スーパー・グリッド」構想を2011年に掲げた。モンゴルに豊富にある風力や太陽光の自然エネルギー資源をアジアで活用しあうため、モンゴルに7GW(ギガワット)分を超える風力発電所を建設するための土地をおさえた。さらにインドでも350MW(メガワット)の太陽光発電を建設中だ。

孫会長は「アジア・スーパー・グリッドは、採算的にも政治的にもありえないと多くの人にも言われた」と述べた。実現するためには、自然エネルギーの発電と送電をやらなければいけない。発電所を建設しても、世界をつなぐグリッドをどうするかが課題だった。

計画が進んだのは今年1月、中国国家電網公司(SGCC)のリュウ・ゼンヤ前会長と出会ったことだった。「多くの人にクレイジーなアイデアだと言われていたが、リュウ前会長が国々や地球はお互いにつながり合うべきだという同じビジョンをもっていてくれた」と孫会長は語る。新たな協力が始まった。

その後、モンゴルから日本に電気を通すために、韓国の韓国電力公社、ロシアのRossetiとも連携し、3月には4社でMOUを調印した。送電の課題に向けて明るい兆しが見え始めた。孫会長は北東アジアを結ぶアジア・スーパー・グリッドを「ゴールデンリング」と名付けている。

■化石燃料からクリーンエネルギーへ

孫会長は「全世界の人口の3分の2はアジアにいる。今日現在のアジアの発電量の76%がこの4カ国。さらに電力消費量の77%がこの4カ国だ。つまり、ゴールデンリングで4カ国を結ぶ二つの電力網が実現すれば、世界のエネルギー問題に光が見えてくる。採算的にも石炭火力よりは安いことは間違いない」と実現に向けて意気込んだ。

これまでの自然エネルギーはクリーンで安全だけど不安定で高コストだったが、技術開発によって安定的で、低コストに変わってきた。

リュウ前会長は「日本のエネルギーは重要な岐路に立たされている。化石燃料や原発に頼り、海外へ石炭火力を輸出しているが、目先の利益と長期的な利益を考えないといけない。今後、クリーエネルギーの価格が下がれば、化石燃料の輸出にも影響があるだろう。日本はエネルギーをどうしていくか決心をしていかないといけない」と日本のエネルギー問題に示唆を与えた。

2016年9月20日(火)16:43

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