なぜ私がグリーンピースの事務局長に?

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はじめまして。国際環境NGOグリーンピース・ジャパンの事務局長に2016年8月に就任しました、米田祐子です。

オルタナ・オンラインのコラムでは、最新の環境問題をお伝えするとともに、グリーンピースのことをもっと知ってもらおうと、働いているスタッフの紹介や事務所内の様子もおりまぜて、お届けできればと思います。今回は、私自身について自己紹介をしたいと思います。

気候変動について記者会見するモーガン

グリーンピース・ジャパンが日本に誕生してから28年が経ちますが、私で2人目の女性事務局長になります。オランダにある本部、グリーンピース・インターナショナルでも、ジェニファー・モーガンとバニー・マクダーミッドという2人の女性が昨年、共同の事務局長に就任しているのです。

さて、タイトルにもあるように、なぜグリーンピースの事務局長になったのか。

私はアメリカの大学院を卒業してから、1年弱ニューヨークの国連開発計画に勤務していました。しかし、活動現場から程遠い本部にいると、自分が何のために働いているのか見えないというもどかしさがありました。開発の仕事をするうえで、現場の経験は大切です。最前線で活動したい。そんな思いから、国連を辞めて、その後16年間ずっとアフリカやアジアなどの途上国で開発NGOに携わってきました。

■先進国が引き起こす途上国の問題

ソマリア南部の住民のみなさんと

東南アジア、南アジア、ソマリア、リベリア、南部中央部アフリカで働いてきましたが、途上国の貧困層の多くは、豊かな自然に頼って生活を営んでおり、富裕層、あるいは先進国の経済によって引き起こされる環境破壊や気候変動の影響を重く被るのも途上国の社会的な弱者だと実感しました。

例えば、東南アジアでは、大規模な経済開発事業に立ち退きを迫られるメコン川流域の少数民族の土地と生活を守るため、地元の団体と協力し、企業や政府を対象にアドボカシー・キャンペーンを展開しました。

外国資本に頼って高い経済成長の数値目標を達成したい途上国政府。途上国政府による規制や監視が弱いことから、不公正であっても有利な条件で安価に土地や資源、労働力を確保し、利益を拡大したい外国からの大企業。そうした政府や大企業の思惑に翻弄され、内部協力者と断固反対する勢力に分断されてしまう地元の先住民。先住民の伝統的な暮らしや価値観が崩されるのを目の当たりにし、誰のため、何のための経済成長なのか、改めて問い直しました。

このように途上国での経験を通して、貧富の差を広げ環境を破壊する経済成長の根底には、社会の不公正さや歪んだ権力構造があると学びました。経済と政治の仕組みを変えないと、持続可能な形での開発は達成できません。格差を生む様な仕組みを変えないと、貧困問題や環境問題は解決できないことに気づきました。開発の先に目指す経済や社会のあり方、人間社会と環境のつながりについて疑問を抱くようになりました。

■日本でもできることがある

カンボジアの村で。地元の人との村が抱える課題と対策について会議

そもそも現場で働くことに重点を置いていた私は、日本で働くことは考えていませんでした。しかし、東日本大震災をきっかけに全てが変わりました。日本に戻り、仙台でボランティアをしていた時に、私にもここ日本でできることがあるのだと気付きました。

途上国で見て来た社会の歪みは、高度経済成長によって先進国となった日本にもあって、やはり経済成長後のビジョンを描ききれないでいる、と。日本を現場にして働くことに魅力を感じていた時に、ちょうどグリーンピースと出合うきっかけがありました。

もちろんグリーンピースのことは知っていました。アクティビストの団体で、勇気を持って行動している印象がありました。ただ、どのような人が働いているか、どんな雰囲気の職場なのかは、入ってみるまで分かりませんでした。グリーンピースには、真摯に純粋な気持ちから環境問題に取り組んでいる人が多いですね。

職員は女性が多く、平均年齢は若いと思います。一人ひとり、高い環境意識を自分の生活の中にもどんどん取り入れていて、私自身感化されます。マイボトルやお弁当を自宅から持ってくる人は多いですし、有機農産物やオーガニックの化粧品を取り入れることで、どんな変化が感じられるか、お昼の話題になったりします。中には自転車通勤の職員もいます。

入職まで欧米の白人が中心の団体というイメージが強かったのですが、実際は、日本でも海外でも、グリーンピースを構成する人たちは、意志が強く、個性豊かで多様性に富んでいます。

■グリーンピースの活動に「境」はない

グリーンピースの船「虹の戦士号」

1992年、グリーンピースの船「虹の戦士号」が実験水域を訪れたことを受けて、フランス政府はムルロア環礁での核実験を中止しました。

自然界では、様々な生命がバランスをとりながら豊かな生態系を構成しています。同様に、人間の世界でも、活力や創造力のある社会には多様性が必要です。一極集中の体制では、複雑で多様化する現代社会のニーズや期待に応えきれないでしょう。

社会の様々な層の声を汲み取り、その信頼を得て活動する色々なNGO団体があることが、健全な社会の証だと思うのです。特に、報道機関が政府の圧力に萎縮し、政府に対する監視力が弱まりつつある時代だからこそ、NGOなどの市民団体の役割がより重要になると感じます。

環境問題に国境がないのと同様、私たちグリーンピースの活動に「境」はありません。国境、文化、言葉、立場の違いを超えて人類共通の課題に取り組むことができるのが国際環境NGOグリーンピースだと思います。

これからも引き続きグリーンピース・ジャパンへのご協力をよろしくお願い致します。

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
グリーンピースは、世界規模の環境問題に取り組む国際環境NGOです。問題意識を共有し、社会を共に変えるため、政府や企業から資金援助を受けずに独立したキャンペーン活動を展開しています。本部はオランダにあり、世界55カ以上の国と地域で活動し、国内だけでは解決が難しい地球規模で起こる環境問題に、グローバルで連携して解決に挑戦しています。

2017年6月14日(水)17:32

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