地理的表示保護制度の活用で地方創生

笹谷秀光
伊藤園 常務執行役員 CSR推進部長
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地方創生では関係者連携で地域資源を掘り起こし、制度も活用してブランド化することが重要だ。政府方針でも触れている、消費者の需要に応じた商品を生産・供給するという発想で「需要と供給をつなぐバリューチェーン」の構築にも役立つ。地理的表示保護制度によるブランド保護をご紹介したい。(伊藤園常務執行役員=笹谷 秀光)

■地理的表示保護制度によるブランド保護

地理的表示保護のGIマーク、農林水産省のホームページより

この標章「GIマーク」(GIはGeographical Indications の略)をご存じであろうか。

これは地域に根付いた農林水産物等のブランド産品の名称を保護する地理的表示保護制度のマークだ。大きな日輪を背負った富士山と水面をモチーフに、日本国旗の日輪の色である赤や伝統・格式を感じる金色を使用し、日本らしさを表現している。

農林水産物等のブランドというと、世界ではフランスの中東部ブレス地方の「ブレス鶏」が有名だ。伝統的な方法で飼養され高いブランド力を持ち、有名3つ星レストランでも使われ、「価格が高い」ところがポイントだ。この他、EUではパルマハム、ゴルゴンゾーラチーズなども有名である。EUでは地理的表示を保護する制度により、これらのブランド産品の名称が保護されている。

日本では、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)により「地理的表示保護制度」が2015年6月から始まり2年経ち2017年5月時点で35産品が登録されている。「神戸ビーフ」(兵庫県)、「夕張メロン」(北海道)、「市田柿」(長野県)などだ。

 

農林水産省のホームページに登録の最新情報が載っている。http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/index.html

これは、品質等の特性が地域と結び付きのある産品の名称を知的財産として登録し、保護する制度である。登録された名称とともに国が定めたマークを貼り付けることで、真正な地理的表示産品であることが分かるようになり、模倣品等と判別することができる。日本には、特別な生産方法や気候・風土・土壌等の生産地の特性により、高い品質と評価を得ている産品が多く存在する。

■地理的表示保護制度による登録産品の事例

最近よく訪問している福井県の登録事例をご紹介する。食のまちづくり課もあり食育に熱心な福井県小浜市の「谷田部ねぎ」も登録されている。

谷田部ねぎ写真、農林水産省のホームページより

旬の地場食材を取り入れた和食給食を「鯖江和膳」と名付け、市内の全小学校で地場産業である越前漆器の給食用漆器を導入している鯖江市では「吉川ナス」が登録されている。

吉川ナス写真、鯖江市提供

産品として差別化が図られ、価格にも反映されている。対外的にも、日本のGI産品の詳細情報や関連情報を、日本語及び英語等の多言語で発信し海外の政府関係者、国内外の流通関係者や消費者等にわかりやすく発信する予算もついている。

この制度には、伝統性要件があり、一定期間(おおむね25年)継続して生産されている農林水産物等を対象とする。産品の地名を含む名称や、地名を含まないが地域と結び付きのある名称を知的財産として保護する制度だ。

今後の地方創生でも大いに活用すべき制度である。

 

 

笹谷秀光
伊藤園 常務執行役員 CSR推進部長
東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年伊藤園入社、2010-2014年取締役。2014年7月より現職。幅広いテーマで講演等に登壇。著書『CSR新時代の競争戦略-ISO26000活用術』(日本評論社・2013年)、『協創力が稼ぐ時代―ビジネス思考の日本創生・地方創生―』(ウィズワークス社・2015年)。

2017年6月19日(月)14:58

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