[Sustainablebrands.comから転載]
Interviewee
ヨルグ-クリスチャン シュテック BASFジャパン 代表取締役社長
Interviewer
森 摂 オルタナ編集長/サステナブル・ブランド国際会議総合プロデューサー
「サステナビリティと利益は間違いなく両立します。サステナビリティの価値を顧客に伝えられたら、競争優位になりますし、結果的には両立以上に利益になるはずです」。こう言い切るのは、世界最大の総合化学メーカーBASFの日本法人、BASFジャパンの代表取締役社長ヨルグ-クリスチャン シュテック氏だ。同社のサステナビリティ世界戦略を聞いた。
――BASFは1865年に創設され、150年以上の歴史があります。サステナビリティの概念はいつからお持ちですか。
シュテック:持続可能な形で、製品をどう作るかという発想は、創業の時からあります。サステナブル経営という観点では、BASFが特別なわけではなく、ドイツの風土、歴史と関係があると思います。日本にも似た土壌はあると感じています。事業が長く続く理由は、リサイクルの仕組みを活用し、ひとつの事業で排出された副産物を、別の事業で新しい製品を作る原料として使用しているからです。
――クレイドル・トゥ・クレイドル(ゆりかごからゆりかごまで:役割を終えたものを再び製造現場で活用する考え方)に通じますね。
シュテック:はい。しかし、それより徹底しています。この理念を「生産のフェアブント」と呼んでいます。フェアブントとは「統合・つなげる」を意味するドイツ語です。
フェアブントシステムは、基礎化学品から塗料などの高付加価値製品までつながる、効率の良いバリューチェーンを生み出します。このシステムで、原材料やエネルギーを節約し、排出物を最小限に抑え、物流コストを下げ、相乗効果を発揮しています。フェアブントのコンセプトは生産や技術のみならず、知識の共有、社員間、顧客、ビジネスパートナーとの関わりにおいても浸透しています。
まさにこれがBASFの成長のカギなのです。一つの会社としての付加価値を作り出しているのです。その根本には、事業全体に行き渡ったサステナビリティの概念があります。