熊本地震による孤独死を防ぐ ――「『5』のつく日。JCBで復興支援」

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2月から5月までの5のつく日(5日、15日、25日)にJCBカードで買い物をすると、買い物1回につき1円が、JCBより、自然災害からの復興活動に寄付される「『5』のつく日。JCBで復興支援」。この寄付金は、東日本大震災だけではなく、熊本地震からの復興活動にも利用されている。

間もなく熊本地震から2年が経つが、いまだ約4万人が仮設住宅で暮らしている。「『5』のつく日。」の支援先の一つで、熊本県益城町の仮設住宅で被災者の暮らしに寄り添い続ける、訪問ボランティアナースの会キャンナス熊本の山本智恵子代表に話を聞いた。

 全国訪問ボランティアナースの会キャンナス熊本のスタッフたち

益城町テクノ仮設団地は、ダム湖を挟んだ熊本空港のすぐ隣に位置する。2016年4月14日と16日に起きた熊本地震によって、益城町はとりわけ甚大な被害を受けた。

その後、町内に18カ所建設された仮設団地のうち、516戸と最大の場所がテクノ仮設団地だ。原則2年間である仮設住宅の入居期限が迫る中、それでもまだ多くの人々がここで暮らしを続けている。

この仮設団地において、行政だけでは手が届かない、自立再建・孤立防止のための巡回訪問や、イベントの開催、設備の修繕に取り組むのが、訪問ボランティアナースの会キャンナス熊本だ。「孤独死を出さない」ことを一番の目標に掲げ、被災者の生活を見守り続けている。

■大切なのは「支援者を守ること」

キャンナスは全国各地で活動する、訪問看護の有償ボランティア団体だ。熊本支部となるキャンナス熊本は2014年に山本智恵子代表が立ち上げた。自身も熊本市で被災した山本代表が益城町の支援に入ったのは、2016年6月の半ば。ちょうどキャンナス本部が行っていた避難所の看護支援から、仮設住宅支援への移行期だった。

もとが看護師のネットワークであるため、「その人の状態をどう察知するか」「リスクの高い人にどのように接すればいいか」「どんな周期で巡回すればよいか」といったことは心得ている。しかし、災害は特殊な状況だ。山本代表は、東日本大震災の経験から学ぼうと、宮城県石巻市のキャンナス石巻を訪問した。

「石巻で教わったのは『支援者を守ること』でした。災害は最も大事な人を失わせ、最も大切な場所を消してしまいます。辛い経験談に入り込みすぎると、支援者も潰れてしまうのです。辛い話は一人でなくみんなで語り合うなど、話を聞く術を学ぶことができました」(山本代表)

実際に、住民から聞いた重い相談内容を一人で抱え込まないように、スタッフが訪問から事務所に戻ってくると、報告会を開き、必ずスタッフ間で共有するということを徹底しているという。

テクノ仮設団地には11人のスタッフが常駐し、「独りで暮らしている」「身体的な事情で通院ができない」「とても高齢である」「生活に困窮している」「健康そうに見えてもご飯を食べていない」といったリスクに応じて、戸別訪問を続けている。

大仰な「訪問診療」というわけではなく、例えるなら、2週間ぶりに友人宅を訪れての茶飲み話だ。それを2年間続けていく中で、気心の知れる間柄になった。

■自治体が負担できない部分を民間が支援

キャンナス熊本では、相手が話しやすい雰囲気づくりを心掛けながら、戸別訪問を続けている

入居から2年の節目となる2018年4月が迫っているが、仮設団地から出て行くこと、自力で生活再建することが困難な世帯はまだまだ多い。政府は原則2年間の仮設の入居期間を1年延長する方針を固め、熊本県の調査によると、仮設住宅やみなし仮設で暮らす世帯のうち、6割が入居期間の延長を希望していることが分かった。

キャンナスのスタッフは、県から派遣された民生委員と一緒に、老若男女、さまざまな個別事情に寄り添いながら、生活再建の相談に乗っている。

こうした巡回訪問に加えて、キャンナスは毎月、仮設団地内で健康相談会を開催している。医師・看護師・管理栄養士・歯科衛生士・セラピストなどを招いて、心身の不安を相談するイベントだ。多くの専門家が参加するが、彼らに対する費用は県の業務委託費をあてがうことができない。

そこで活用されたのが「『5』のつく日。JCBで復興支援」の支援金だ。仮設団地の健康を守る人たちに対する謝礼や宿泊費として使われた。さらに「荷物を運べるように仮設団地内の道路を舗装したい」などという、現行のルールでは国や県や町が資金を負担できない団地整備にも、支援金が利用されている。

JCBカード会員は、2月から5月の5のつく日にJCBカードで買い物をすることで、こうした復興の取り組みを支援することができる。

「常々思っていることですが、キャンナスだけで災害支援ができているわけではありません。私たちもまた、たくさんの支えによって成り立っています。直接ボランティアにいらした方からは『自分が役に立っていることが嬉しい』『来られて良かった』という声を聞きますが、現地に来られなくとも支援できることはあると思います。それもまた現地の力になっていることを、どうか忘れないでほしいのです」(山本代表)

2018年4月2日(月)11:32

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