損保ジャパン、NPOに若者輩出

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環境への意識が高い学生に、NPOなどでのインターンの場を提供する損保ジャパンの活動が10年目を迎えた。9月18日に都内で開かれた記念シンポジウムにはインターン生や修了者ら150人が参加。実践を積んだ若者が、社会で理想とのギャップに直面する現実も明らかとなった。

■10年間で500人輩出

【写真】「CSOラーニング制度」10周年シンポジウム=新宿・損保ジャパン本社にて(撮影:斉藤円華)

損保ジャパン環境財団の「CSOラーニング制度」は、大学生ら若者がインターン経験を通じて環境問題を体で理解することに目的として2000年にスタート。環境分野のCSO(NPOなどの市民社会組織)へ、10年間で527人を派遣してきた。

2007年にインターンを経験した伊藤愛理さんは「自分が世の中で生きているというリアリティが持てた。今までの価値観に疑問を持ち、持続可能な社会について考えるようになった」と振り返る。大学卒業後はNPOに就職した。

制度はCSOにも好評だ。昨年受け入れた団体の数は40に上る。NPO共存の森ネットワークの吉野奈保子事務局長は、2008年にインターン経験者からスタッフを登用。「私たちが必要とするのはミッションに共感し、自ら動ける人。働きぶりを見て『この人となら一緒に働ける』と思える人を採用した」と語る。

財団が今年2月に修了者を対象に行ったアンケート調査では、学校を卒業した約3割がCSOや環境関連企業、農業等への就職を果たしている。

■厳しい現実に挫折も 「土壌」作りが課題

一方で修了者を取り巻く厳しい現実も明らかに。伊藤さんは「太陽光パネル販売会社に就職してもノルマの厳しさに辞めるなど、インターンでの経験と実際の仕事とのギャップが大き過ぎ、涙を流す仲間を何人も見た」と語った。別のOBも「NPOの仕事はかっこいいように見えて、実際は地味な仕事が延々と続く」と明かす。

それでも、パネラーとして参加した社会起業家を支援するNPO、ETICの宮城治男代表理事は同制度の有用性を認める。宮城氏は「NPOの平均年収は166万円と言われる中で、優秀な人材が変革を求めて社会起業家を志す。世の中では意識の変化がすでに始まっている」とした上で、「変革の現場が若者を育て、若者が育つ場で変革が進む。学生が全員インターンシップを受けられるよう、教育機関も制度作りを急ぐべきだ」と訴えた。

社会全体がチャレンジする若者を受け入れ、変革の芽を育てるための土壌作りが課題と言えそうだ。(オルタナ編集部=斉藤円華)2010年9月22日

2010年9月23日(木)10:00

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