記事のポイント
- 強制労働産品を市場から排除する包囲網が米国・欧州を中心に広がる
- 米国は日本など制度未整備国に12・5%、一部に10%の追加関税案を示した
- トランプ政権の意図として新たな関税措置の根拠を模索しているとの見方も
強制労働産品を市場から排除する包囲網が米欧を中心に広がり、人権対応はもはや市場アクセスの問題となりつつある。米国は日本など制度未整備国に12・5%、一部に10%の追加関税案を示した。トランプ政権の意図として新たな関税措置の法的根拠を模索しているとの見方もある。(認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長=潮崎 真惟子)
2025年12月、セルビアで製造されたタイヤが、強制労働の懸念から米国港で差し止められた。26年1月には、メキシコの農園で収穫されたコーヒーも同様となった。
これは、米国税関・国境警備局(CBP)による輸入差止措置(WRO)だ。米国の強制労働輸入規制といえば、新疆ウイグル自治区に関連する規制が大きく報じられてきた。
しかしWROの対象は特定地域や産業に限られず、農産品、食品、工業製品を含む幅広い国際サプライチェーンが対象だ。今年、米政権はさらに大きく動いた。自国の輸入規制にとどまらず、他国にも同様の対応を求め始めたのである。
26年3月、米国通商代表部(USTR)は、日本を含む60の経済圏について、「強制労働によって作られた製品を、自国市場に入れない制度を持っているか」「それを実際に執行しているか」を問う通商法301条に基づく調査を開始した。
6月には全対象の対応が不十分との結果を公表し、日本など制度未整備国に12・5%、一部に10%の追加関税案を示した。米国の論理は、強制労働で低コストに作られた製品が市場に流通すれば、正当な労働コストを負担する企業や労働者にとって「アンフェアな競争」になるというものだ。
一方トランプ政権の意図として、米最高裁での相互関税判断を背景に、新たな関税措置の法的根拠を模索しているとの見方もある。
■日本も規制強化に動くか

