国際NGO創設者「ダイベストメント、日本は遅い」

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■お金の流れを断ち、温暖化の抑止力に

――金融機関や企業はなぜダイベストメントを行うことを決定したのでしょうか。

ビル:まずひとつは、化石燃料を扱っている企業の業績が良くないということ、2つめは、多くの都市がこれらの企業を相手に訴訟を起こしていることからも分かるように、訴訟を受けるリスクを抱えています。これはちょうど、以前にたばこの会社に起こったことと似ています。

3つめは、今経済的にも魅力的なのは新しいエネルギー源、例えばソーラーや風力発電ですが、これらのコストが大幅に下がっていて、かつ大きく成長する可能性があるということ。化石燃料よりずっと魅力的な市場があるということです。4つめに金融業界の皆さんにも子どもがいるでしょう。彼らのために良い世界を残していく必要があるのではないでしょうか。

――ダイベストメントを広げる効果は経済的なものでしょうか、政治的なものでしょうか。

ビル:石油など化石燃料を扱う企業は大きな力をもっています。そこでダイベストメントを行うことで、これらの企業に流れる資金を断ち、企業の力自体が弱まります。

化石燃料を扱う企業というのは元々政治的に大きな力をもっていますので、経済的基盤が弱まれば政治的な力も弱まり、変革を起こす基盤ができる、または容易になると考えます。

――ダイベストメントは、自然エネの普及などエネルギーの形も変えていく力になると考えますか。

ビル:そういった影響もあると思います。ダイベストメントすることによって確かにエネルギーの元になっているものを変革させていくということにつながります。しかし、ダイベストメントの焦点はそこではなく、気候変動は大きくお金の流れに依存している部分があるのでそこを変えようというものです。

つまり、ダイベストメントを行うことによって、化石燃料を使っている、もしくは化石燃料に投資している企業の政治的な力を弱めようという戦略であって、これらの力を弱めれば気候変動について早く大きな変革をもたらせると考えます。

世界は脱炭素、日本は行き詰まり

――日本では、今後43基の石炭火力発電所の開発計画や、邦銀のメガバンクをはじめとして、いまだ化石燃料への投資が続いていますが、それについてどうとらえていますか。

ビル:日本は世界と大きく隔たりがあり、完全に行き詰まっている、またある意味バランスを欠いているという印象を受けます。世界の先進国は脱炭素という傾向が明確になっているのに対して、日本は過去の形に留まっています。米国でさえ石炭火力発電所は減っています。

日本にとって重要なことは、このような世界の足並みから外れてしまうことを回避し、京都議定書を発効した頃のようにリーダーシップを発揮することです。

なぜなら気候変動はグローバルな問題であり、世界が抱えている問題に対しては各国が協力しあって解決しなければならないからです。

――日本の沖縄でも2016年の海水温の上昇で9割の珊瑚が死滅していますし、世界の海でも大きな異変が起きています。こういった気候変動の影響とダイベストメントを直接関連づけて考えられない人も多いですが、私たちが明日からできることは何でしょうか。

ビル:まずは、つながりを理解することが大切です。気候変動は地球を壊します。そして気候変動を起こしているのが化石燃料です。そして化石燃料というのは潤沢なお金があれば拡大するという一連の流れを理解するのが重要です。

ですので、もし自然や環境に関心があったり、自分の子どもたちや孫の将来を考えているのであれば、そのようなお金はどこから来ているのか、どうお金を投資すべきなのかを考えなければなりません。火を燃やすためには酸素が必要です。それと同様に地球温暖化を促進しているものがお金だということです。お金が化石燃料企業に酸素のように投入されていることで燃え上がっています。

つまり、自分たちの預貯金が何に使われているのかを把握し、適切ではない使われ方をしている所からダイベストメントする、投資を引きあげるという行動が気候変動への重要なアクションになります。銀行口座は誰にでもあるのでそれは個人でもできることです。

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ビル・マッキベン:気候変動防止の行動を訴える国際NGO「350.org」共同創設者であり、 世界的ベストセラー「ディープ・エコノミー」「人間の終焉」の著者であるアメリカの環境活動家。2010年には米タイム紙で「世界最高の環境ジャーナリスト」として選ばれた。2012 年より、新たな気候変動対策として化石燃料からのダイベストメントキャンペーンを世界各地で展開。NGOの名前の「350」という数字には、温暖化を阻止するために大気中のCO2濃度を350ppm以下にする必要があるという意味を込める。

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2018年5月15日(火)14:03

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