国内でメガソーラー建設ラッシュ

国内でメガソーラー(大規模太陽光発電所)の導入計画が相次いでいる。8月末には新潟市で国内初となる1MW(メガワット=千キロワット)のメガソーラーが運転を開始。10月5日には関西電力が堺市内のメガソーラー施設で発電に踏み切る。背景にあるのは、太陽光パネルの価格低下と、政府で検討が進む自然エネルギーの全量買取制度案だ。

■数MW規模が中心

新潟市内のメガソーラーは昭和シェルと新潟県が共同で設置。雪国対策として太陽光パネルの取り付け角度などを工夫した。住宅300戸分の電力を発電し、東北電力との直接契約により全量が買い上げられる。

関西電力が堺市と建設を進める「堺太陽光発電所」は20ヘクタールの敷地に10MW(1万キロワット)の発電規模を備える計画で、完成は2012年秋を予定。今回は先行してすでに完成した6ヘクタール・約3MW分で発電し、電力系統への影響を検証する。電力会社によるメガソーラーの運転開始は同社が初 だ。

他にも中部電力が長野県飯田市で来年2月の運転開始をめざす「メガソーラーいいだ」、東北電力の「八戸太陽光発電所」など、各地で計画が進む。電力各社は2020年までに全国30ヶ所で14万キロワットを導入する計画だ。

■全量買取制度案が後押し 課題も

メガソーラーの建設ラッシュともいえる現在の状況だが、矢野経済研究所が9月17日に発表した国内太陽光発電システムについての調査でも、2010年度は発電事業用設備が前年度に比べて4倍増の2309億円にまで拡大すると予測している。

そうした急拡大の理由を、NPO環境エネルギー政策研究所の松原弘直主席研究員は「薄膜型太陽電池の生産増加にともない設備コストが低下しているのに加え、国の自然エネルギーの全量買取制度の導入を見越した動きもあるのでは」とみる。

経済産業省が今年7月に示した全量買取制度案では、メガソーラーなど発電事業用設備からの電力を1キロワット時あたり一律15~20円で買い取るとしている。実施時期は未定だが、メガソーラーの導入拡大を後押しする好材料であるのは間違いない。また、太陽光をはじめ自然エネルギーは普及拡大にともない発電コストが低下するメリットも期待できる。

一方でメガソーラーは設置に広大な用地が必要で、耐用年数が15~20年と短いなどの課題もある。また、全量買取制度案では買取価格を一律としているため、規模や地域特性などの事情を考慮してコストベースで事業プランを立てにくい。国内のメガソーラーが「エネルギーシフト」(自然エネルギーへの転換)の主要な担い手となりうるか、予断を許さない情勢だ。(オルタナ編集部=斉藤円華)2010年9月30日

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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