中国でCOP16作業部会が開催

地球温暖化対策を協議する国連気候変動枠組み条約の作業部会が10月4日、中国・天津で開幕した。今年11~12月にメキシコで開かれる同条約締約国会議(COP16)前の最後の会合で、9日まで開催される予定。京都議定書に代わる新たな枠組みづくりに向けて、対立を続ける先進国と発展途上国がどれだけ歩み寄れるかが焦点となっている。

COP16では、京都議定書に続く2013年以降の温室効果ガス排出削減の枠組み構築が議題となる。各国は当初、昨年のデンマークでの第15回締約国会議(COP15)での合意を目指していたが、先進国と途上国の利害対立のためにそれができなかった。「コペンハーゲン合意」という、ガス削減によって産業革命以前の気温から2度以内の上昇に抑えるよう努力するという限定的な内容の文章の作成にとどまった。

COP16の事前協議でも合意のメドはついていない。途上国は先進国に温室効果ガスの削減と資金や技術の提供を要求。一方で先進国は途上国に削減義務の分担を求めている。

京都議定書は1997年に成立し、2008年から12年まで締約国中の先進国に削減義務を課した。しかし途上国に削減義務を課さず、先進国が資金を提供してエネルギー効率化を進める「クリーン開発メカニズム」などの仕組みを備えるなど、途上国に有利な仕組みとなっていた。そのためにCOP15ではこの制度の見直しを求めるアメリカなどの先進国が負担を求め途上国が反発。会議が決裂の危機に陥った。

途上国の動向で注目されるのは中国の動きだ。中国は2008年にはアメリカを抜いて世界最大の温室効果ガスの排出国となっているが、経済成長も続けており、自国に有利な形での国際社会枠組み作りを進めようとしている。また途上国をまとめて、その数の力を背景に交渉を行う意向だ。

同条約をめぐる主要会議が中国で開かれるのは初めて。中国政府によると各国政府の代表や民間活動団体(NGO)の関係者ら3000人が参加している。中国が気候変動問題でも積極的な意見表明を国際社会に行うため誘致したとみられる。

会議の開会では、同国の副首相級の戴秉国国務委員がスピーチし、「発展途上国に対しては、温暖化対策を積極的に進められるよう十分な資金援助と技術移転を進めていくべきだ」と述べた。中国は温暖化問題でもその発言、存在感を増しており、会議での動向が注目されている。(石井孝明=オルタナ編集部)10月5日

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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