気候変動対策に向けたCO2削減に企業の関心が高まるなか、「グリーン電力証書」を活用した取り組みが着目されている。自然エネルギーで発電された電力の「環境価値」を取引することで、使用電力が自然エネルギー由来とみなされる仕組みだ。電力切り替えや設備投資が必要ないため、効率的なCO2削減や特定期間に区切って自然エネを使用する取り組みなどにも活用されている。(オルタナ編集部=堀理雄)
グリーン電力証書は、太陽光、風力、水力、バイオマスなど自然エネルギー発電所で発電された電力のうち、「環境価値」だけを取引できる仕組み。証書発行事業者が、第三者機関である日本品質保証機構の認証を受けて発行する。発電方法や発電所の所在地、発電時期などが明確で追跡可能(トレーサビリティ)であることが特徴の一つだ。
2008年から証書発行事業者としてグリーン電力証書事業を展開するネクストエナジー・アンド・リソース ESG戦略支援室の唐木力氏は、「CO2削減に向けた選択肢の一つであり、再エネ導入のきっかけとしても活用してほしい。(証書の利用を通じて)需要家の側から再エネ促進に向けシグナルを発することにもつながる」と話している。
気候変動対策に向けたCO2の排出削減に関しては、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の国内賛同企業・団体が5月末時点で160者を超えるなど、急速に関心が高まる現状がある。ESG(環境・社会・ガバナンス)評価においても重要なポイントの一つとなっている。