「発達障害はギフト」落語家・柳家花緑さん

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落語家の柳家花緑さんは出演したテレビ番組をきっかけに、自身が発達障害であることを知った。知的に問題はないものの読み書きの能力に著しい困難がある「ディスレクシア」だったという。このほど都内で開催された講演会で花緑さんは、「発達障害はギフト。他にはない才能を与えられている。健常者と補う関係になれば多様性のあるよい社会になる」と述べ、集まった小学生から高齢者まで約200人を前に自身の経験を語った。(松島 香織)

「発達障害を言い訳にせず自分らしくいられるかどうか、自分にとってはチャレンジ」と講演する柳家花緑さん(8月6日、東京都港区障害保健福祉センター・ヒューマンぷらざでの講演会「読み書き困難でも自分らしく生きる」で)

■40代で気づいた発達障害

花緑さんは小学生の時、落ち着きがなく、宿題はせずに忘れ物をする、授業中に先生の話を聞かず話をしている、いわゆる問題児だったという。中学生の時には弦楽合奏クラブに入っていた。

演奏を間違えた女の子が「私、ばかだな」と言った事に対し、「ばかなんじゃない?」と自分では聞こえて来た言葉をそのまま返しただけなのに、相手を傷つけてしまったことがあった。

学校の成績が悪いことやうまくコミュニケーションが取れないのは、自分の努力不足だと思い込み、大人になっても自分に自信が持てなかった。出演した番組を見ていたディスレクシアの当事者から連絡があり、40代になって初めて発達障害だったと気づいた。

「インターネットで調べたら、コミュニケーションに難しさを感じるASD(自閉症スペクトラム)、不注意・多動性・衝動性があるADHD(注意欠陥多動性障害)、読み・書き・計算などに困難を伴う学習障害が出て来た。自分のプロフィールだと思った」(花緑さん)

抵抗感はあったが、ひと月で自分が発達障害だと受け入れることが出来た。比較的短い期間で受け入れられたのは、祖父で落語家の5代目柳家小さんから「素直であること」の教えがあったからだ。また落語を覚えるにも素直さは芸の基本であり、花緑さんは「自分は落語に救われた」と話す。

読み書きができないことは心の傷だった。「なるべく隠して生きて来た。落語だけで社会とつながっていこうと思っていたが、受け入れてからのこの4、5年の自分はまるで生まれ変わったよう」と花緑さんは明るい笑顔を見せた。

落語は、江戸時代の町民の生活やお伽話などを面白く語るものだ。花緑さんは自分に自信が持てず、落語の言葉を借りなければ自己表現できなかった。だが今は、現代を自分の言葉で表現したいと洋服を着て椅子に座って話す「同時代落語」に挑戦中だ。

■競争の枠離れ、多様性ある教育を

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2019年8月16日(金)13:58

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