国連気候サミットの開催に先駆け、「気候危機」への緊急対策を訴えようと、世界中の子どもたちや若者らが9月20日、「グローバル気候マーチ」(グローバル・クライメート・ストライキ)を一斉に実施する。これを受け、趣旨に賛同するラッシュやバートンなど各社は、当日に限って「1日休業」の方針を発表した。(オルタナ副編集長=吉田広子)

スウェーデンの高校生、グレタ・トゥーンベリさんは2018年8月から「スクール・ストライキ」を行い、スウェーデン国会前で気候変動対策を求める抗議活動を始めた。この活動への共感は世界中に広がり、毎週金曜にスクール・ストライキを行う「Fridays For Future」に発展した。20日に実施される「グローバル気候マーチ」では、大人たちにも仕事を中断して、行動を起こすことを呼び掛けている。
こうした呼びかけに応えるために、英化粧品ブランドのラッシュはビジネスを中断し、気候変動運動の緊急性を訴える機会にすることを決定した。日本を含めた世界38カ国の店舗とオンラインショップで営業を停止するほか、オフィスでの業務も停止する。気候マーチへの参加は社員の任意で決められる。

ラッシュジャパンの小山大作PRマネージャーは「『グローバル気候マーチ』の認知を広げ、一体となって気候変動の危機を社会に訴えていきたいという強い思いがあった」と話す。
ラッシュはこれまで、電力の切り替えを訴える「パワーシフト」やLGBT+支援など、社会的なキャンペーンを数多く仕掛けてきた。だが、日本では、入居する商業施設の制約によって実施できないことも少なくなかった。
ところが、今回の気候マーチ参加に伴う一時的な営業停止や照明を落とすといった縮小営業が、テナントを含め国内全84店舗で実施できることになった。商業施設に入居している場合、通常、一店舗だけ閉店することは認められないが、パルコやマルイは特に協力的で、他店や来店者にも協力を呼びかけ、混乱が起きないように配慮をするという。
小山マネージャーは「疑問や反対の声は出なかった。『異常気象』が頻発し、気候変動への危機感が高まるなかで、商業施設からの賛同を得られたのではないか」と説明する。
スノーボード用品メーカーのバートンは、スローガン「Closed for Business, Open for Action:ビジネスをクローズし、みんなで行動を」を掲げ、米国、カナダ、ヨーロッパ、中国、日本、韓国、オーストラリアのオフィスとフラッグシップストアの営業を停止する。
バートンジャパンの担当者によると、当日、通常業務の代わりにそれぞれの地域のデモ行進に参加する場合は勤務扱いとなり、参加しない場合は有給休暇扱いになるという。オンラインストアもオーダーを受けず、アクセスしたユーザーをグローバル気候マーチのウェブサイトにリダイレクトする。。
このほか、KEEN Japan、パタゴニア日本支社、フェリシモなど各社も「グローバル気候マーチ」への賛同を表明している。
訂正:記事掲載当初、バートンジャパンの気候マーチへの参加について、プレスリリースをもとに「有給休暇扱い」としていましたが、気候マーチに参加する場合は「有給(勤務扱い)」、参加しない場合は「有給休暇扱い」に変更されていたことが確認できたため、該当箇所を訂正しました(2019年9月20日9:40)