11月3日のパリ駅伝で、仏陸上連盟は初めて「脱プラスチック・減ゴミ対策」を実施した。スポンサーが、廃棄物ゼロをめざすNGO「ゼロ・ウェイスト」を陸連に紹介したことがきっかけ。NGOと協力し、休憩所ではバラのお菓子や果物を出し、ペットボトル水ではなくエコカップを配り自分で給水してもらった。今年7回目のパリ駅伝は7200人が参加した。(パリ=オルタナ編集委員・羽生のり子)
パリ駅伝は2019年で7回目。1グループ6人がエッフェル塔を中心にして、セーヌ河の両岸をそれぞれ5〜10キロ走る。2019年は初めて環境負荷の少ない駅伝を行なった。これまで走者は走り終わった後、休憩所でペットボトル入りの水と袋入りのお菓子をもらっていた。
今年は、水を大きな水タンクから各自が再利用可能なエコカップに注いだ。ペットボトル1万1千本が節約できた。お菓子、レーズン、果物はバラで提供したので、個装袋2万枚とビニール袋1万枚を使わずに済んだ。
駅伝のチラシもプログラムも印刷せず、チラシ1万2千枚、プログラム8千枚が節約できた。休憩所に水洗トイレは設置せず、使用後におがくずをかけるだけの「乾燥トイレ」と呼ばれるものにした。電力を使わない、昔の「汲み取り式」だ。分別ゴミ箱を設置し、使用済みエコカップ用のゴミ箱も作った。
走った後、着替えて帰る人のために、使用済み衣類やスポーツシューズを入れるリサイクルボックスもあった。これらはスポーツ用品専門のリサイクルショップが洗って直して販売する。
こうしたアイデアは、廃棄物と無駄をなくすことを目指すNGO「ゼロ・ウェイスト・フランス」が出した。設立は1997年で、2200人の会員がいる。政府、自治体、企業、NGOにゴミを減らすための情報を提供したり、駅伝のようなイベントに協力する。主催者向けの「スポーツイベントガイド」も出した。それによると、「減らす」「再利用する」「直す」を優先し、他に方法がない時だけ「リサイクルする」のが基本だ。
使い捨てのカップや皿をやめる。食べ物は必要な分だけ提供する。ランナー用タイム計測チップはゼッケンにつけると回収が難しいので、靴紐につけるタイプを選ぶ。新品や一回しか使わないものはやめ、レンタルする。使い終わったものは分別して集め、再利用しやすいようにする。
パリのスポーツクラブから参加した3人組は「駅伝に出たのは初めてだが、無駄をなくすためにとてもいい試みだ」と評価していた。
仏陸連の話では、今後は、参加者全員に無料で配るTシャツなどの景品は、欲しい人だけに渡るよう登録時の注文制にし、製品の無駄をなくしていきたいという。