登山家・大蔵喜福氏が見た「溶け行く氷河」

サステイナビジョンは1月31日、サステナビリティ(CSR)プラクティショナー講演会を都内で開催し、登山家の大蔵喜福氏が講演「『地球規模の気候変動を考える』~氷河は温暖化の指標~」を行った。登山家として半世紀に渡り名峰を登り続けてきた大蔵氏は、登山や山容の写真を比較していく中で、気候変動の影響を実感してきたという。(オルタナ編集部=中山涼太)

地球規模で気候変動が深刻化するなか、大蔵氏は地球温暖化を考える1つの指標として氷河に注目している。

同氏は、30年に渡りアラスカのデナリで外気温リサーチを行ってきた。1990年から2004年の15年間の平均外気温は上昇しており、温暖化の傾向が顕著に現れているという。

キリマンジャロでは、頂上氷冠の一つである、テーブル氷河が100年前に比べ82%(100年間で約6分の1)も後退した。

ネパールのヒマラヤでは、18年前はどの方面からでも氷雪面を登ることができたが、現在では氷雪面がはげ落ち、岩や石が積み重なったガレ場の露出度が激しくなり、山の難易度を押し上げているという。

さらに高山氷河では、気象変動により融解が急速に進み、氷河の後退や氷河の消滅が確認されている。また、氷河の融解による氷河湖の決壊が危惧されており、洪水による下流域への影響も懸念されているそうだ。

大蔵氏は、「資源や水資源に恵まれている日本は、温暖化の影響を直に受けることが少なく、温暖化を実感しづらい。そのため日本人は、諸外国と比較し温暖化に対する意識が低い。自然を大切にし、恵みを受けてきた日本が、温暖化対策に遅れていることは問題でないか」と危機感を募らせる。

続けて「山に行かない人にも山の状況を知ってもらい、一人ひとり自分ごととして気候変動について考えてほしい。教育の現場では、人の歴史だけではなく自然の歴史も教えていくべきだ」訴えた。

2020年2月5日(水)15:33

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