地球もステークホルダー、前田建設の森づくり活動

前田建設工業株式会社(以下、前田建設)といえば1月31日に公開されたばかりの映画「前田建設ファンタジー営業部」を思い浮かべる方も多いだろう。前田建設ファンタジー営業部とは、ゼネコンの悪いイメージを払拭するために若手社員の発案が元になる架空の組織。今までにマジンガーZの格納庫や銀河鉄道999の発着用高架橋、機動戦士ガンダムの巨大基地建設を実際に請け負った場合の総工費、工期をマジメに算出してきた。しかし、今回のコラムはファンタジーではなくサスティナビリティ。2019年に創業100周年を迎えた前田建設は、持続可能な社会の実現に向けて様々な取り組みをしている。

2019年は台風被害で林道が通行止めになったため別の場所でカラマツを植林 (長野県佐久市 大沢財産区 2019年11月 写真提供:前田建設工業株式会社)

連結純利益の2%を目安に地球に配当を
前田建設は「地球」も「未来」も大切なステークホルダーと考え、「地球への配当」として連結純利益の2%を目安に、地球環境に貢献する事業外活動に拠出している。さらに、社員本人や家族が森林ボランティア活動などに参加すると「Me-pon」(Maeda eco-point)というポイントが付与され、貯まったポイントはエコ商品やエコ休暇との引き換え、人間ドック受診補助、森林整備活動等への寄付に使うことができる。
この「地球への配当」や「Me-pon」を活用し、前田建設は、熊本県阿蘇郡高森町、長野県佐久市大沢財産区、福井県南条郡南越前町の3ヵ所に「MAEDAの森」を設置。地元の森林組合、NPO法人などと協力して社員が森林整備活動に参加している。また、タイでは公益財団法人オイスカ「子供の森計画」の環境活動を、ベトナムでは現地NGO Viet Natureによる、枯葉剤で枯死した森林の復旧活動を支援している。

10年目を迎えた「MAEDAの森 佐久」
「MAEDAの森 佐久」は、長野県が仲立ちして佐久市大沢財産区と「森林(もり)の里親」協定を締結。2011年から2015年までは、広葉樹林化した人工林を皆伐・地拵えをしてヒノキを再植林し、下草刈り等の保育作業を前田建設社員ボランティアとNPOの手によって行ってきた。また、2016年からは新たな森に場所を変えて森づくりを行っており、今年で活動10年目を迎える。
「財産区」という言葉は聞きなれないかもしれないが、簡単に言うと市町村合併の際に、村の財産だった村有林を、その地域住民の共通の財産として法人格を与えたものだ。大沢地区では、地域の住民から議員を選び、財産区事務所を設け森林経営を行い、植樹や下草刈り、間伐などの作業は議員たちが自ら行っている。

大沢保育園の園児も参加した「MAEDAの森 佐久2」記念式典 (長野県佐久市 大沢財産区 2016年5月)

フリーランスのコピーライター。「緑の雇用担い手対策事業」の広報宣伝活動に携わり、広報誌Midori Pressを編集。全国の林業地を巡り、森で働く人を取材するうちに森林や林業に関心を抱き、2009年よりNPO法人 森のライフスタイル研究所の活動に2018年3月まで参画。森づくりツアーやツリークライミング体験会等の企画運営を担当。森林、林業と都会に住む若者の窓口づくりを行ってきた。TCJベーシッククライマー。

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