中国イカ釣り船による違反操業の実態明らかに(上)

井田徹治
共同通信社

■「他国領海内で操業する違法漁船としては最大規模」

中国漁船は韓国のイカ釣り漁船に比べて大型で2017~2018年に中国の漁船が漁獲したスルメイカの量は同時期の日本と韓国の年間漁獲量の合計に匹敵する約16万トンと推定され、金額では4億4千万ドルにもなるという。

GFWの科学者、パク・ジェヨン氏は「公になったものとしては他国の領海内で操業する違法漁船としては最大規模だ」と指摘した。

日本の水産庁などによると、日本や韓国のスルメイカ漁獲量は2000年ごろから急減している。特に秋に生まれるスルメイカの資源量が悪く、水産庁は「低位で減少傾向」と評価。「中国や北朝鮮による漁獲量や漁場などの情報が不明であるため資源評価が不確実になっている」としている。

パク氏は「成長して産卵期を迎える前のスルメイカが北朝鮮領海内で大量に漁獲されていることが、スルメイカ資源が減少する大きな理由で、このままでは漁業が崩壊しかねない」と述べた。

今回明らかになった中国漁船の活動は、IUU漁業の典型例だ。IUUとは国際的な資源管理機関が定めた規制を無視したり、漁獲量をごまかして漁獲枠を守らなかったりという形で不当な利益を得る漁業のことを指す。

各国の主権が及ばない公海で多いが、国の領海や排他的経済水域(EEZ)の中でも起こっている。高価で取引されるマグロ類やフカヒレ目当てのサメなどが主なターゲットだ。

国連食糧農業機関(FAO)によると、IUU漁業の水揚げは最大で年間2600万トン、その価値は230億ドル(約2兆6千億円)にも上る。船の名前を消したり、別の船の名前を記したりするほか、操業場所を報告する監視装置のスイッチを切る、資源管理機関に加盟していない国に船籍だけを移すなど手口はさまざまだ。(つづく)

◆井田徹治(共同通信編集委員/オルタナ論説委員)
1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委 員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など

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井田徹治
共同通信社
記者(共同通信社)。1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。2020年8月からオルタナ論説委員。

2020年8月4日(火)7:00

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