熊本の保育園、支援物資の陳列で「第二の災害」防ぐ

2020年7月の九州豪雨で被災した「川岳保育園」(熊本県八代市)の「第二の災害」対策が話題を集めている。支援物資の多くが被災地のニーズに合わず無駄になることを避けるため、届けられた支援物資の山を、ボランティアが小売店のように陳列した。さらに多くの人にただ物資を届けるだけでなく、地域コミュニティ内で自発的な支援活動が行える環境整備作りに成功しているという。(寺町幸枝)

旧鏡西部小学校の一角にできた「ガーベラ」には、まるで古着屋のようにディスプレイされた支援物資が並ぶ(写真提供:吉村純、以下同)

■保育園の先生たちを手助けしたい

今回被災した「川岳保育園」は、熊本県八代市坂本町に位置し、今回の水害で最も被害の大きかった地域にある。5年前に建て替えたばかりの保育園だったが、施設の2階まで浸水。7月5日には関係者がヘリで救出されたという。しかし保育園へのニーズは高く、急遽、保育園があった坂本から同じ市内とはいえ45分ほど離れたところにある、廃校になっていた鏡西部(かがみさいぶ)小学校で、被災後1週間で再開した。

津奈木町の農業就業改善センターに集まった支援物資の一部が、川岳保育園に運ばれた

園長をはじめ、多くの職員やその家族も近隣在住だったため、大きな被害を受けているにもかかわらず、保育園の再開を優先している状況を見かねた水俣市在住のSTUDIO VEGANを主宰する吉村純さんらが、ボランティアとして立ち上がった。

川岳保育園の光永淳子園長の娘で、同保育園の保育士である光永福子さんと交流があったことがきっかけで、ボランティアの代表を買って出た吉村さんが、FacebookとInstagramを通じてボランティアの募集を呼び掛けたところ、100名以上の希望者が集まったという。結局吉村さん自ら一人一人と連絡をとり、3日で110名におよぶボランティアを組織。100箱以上に上った支援物資の仕分けを行った。

吉村さんが「積み上がった段ボールの山を見た時、正直顎が外れた」というほど、大量に置かれていた支援物資。光永さんによると、「仮の園舎が決まり、保育を再開すると物資が大量に届く毎日だった。 『ありがとうございます』と受け取るだけで山積みになっていく物資。 どこに何があるか何が足りないのか把握できず、必要な物資を要求することもままならない状況だった」と当時の様子を振り返る。

「自宅も被災している中、保育を求める家庭のために保育園の再会に全力を注いでいる先生たちの手間を少しでも減らしたかった」と話す吉村さんは、熊本地震の際も1ヶ月ほど炊き出しを運営するという経験から、災害時の臨機応変なコミュニティー運営の経験を生かし、今回のボランティアのコーディネーター役を引き受け、迅速に行動に移したという。

■自発的な運営を求めて

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2020年8月9日(日)8:00

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