COP16で日本「公平義務」主張

地球温暖化対策の国際的な枠組みを話し合う国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が、11月29日(日本時間30日未明)から12月10日までメキシコのカンクンで開かれる。日本政府筋は同日、交渉方針について「枠組み作りで、全ての国が公平かつ実効性のある削減義務を引き受けることを求めるというこれまでの姿勢は変わらない」と明らかにした。

そして政府筋は京都議定書の仕組みの延長について触れ「実現の可能性は少ないし、日本としてもそれを求めない」とした。さらに中国など開発途上国の政治および経済力が強まる中で、日欧のみが負担を引き受ける京都議定書の姿は「現実を反映せず実効性に乏しい」と指摘した。

昨年のCOP15では、2012年以降の「ポスト京都」の枠組みづくりに失敗。代わりに日本を含む30カ国のリーダーが、削減努力や国際協力を定めた「コペンハーゲン合意」を採択した。同合意の賛同国は現時点で約140カ国になった。ただしこの合意では京都議定書のような削減義務の明示はなく、曖昧さを残した形になった。

COP15での失敗の背景には、世界全ての国が削減義務を負うように求める日米、削減の義務化を拒否する中国などの開発途上国、さらに京都議定書の枠組みの延長を求めたEUの対立があった。

政府筋はCOP16での新しい枠組みの成立を「難しい」と予想。コペンハーゲン合意を、日本を含めた各国が「尊重する」としていることに注目し「この合意を前提に、その中身を具体化することが交渉の中心になる」と予想した。特に同合意で言及された「測定・報告・検証可能な行動(MRV)」、さらに途上国への資金援助の手段となる「グリーンファンド」の2つが議論の中心になる見通しという。

コペンハーゲン合意では2010~12年に先進国が年300億ドルに程度の供与を共同で行うことを言及。日本はそのうち150億ドルの提供の実施を表明している。政府筋は「着実に支援をすることで信頼感を深め、日本の主張を途上国に訴えたい」とする。

COP16での懸案は、来年のCOP17まで持ち越されるとの見方が世界に広がっている。合意される事項が少ないという日本政府筋の予想は、それを裏付ける。(オルタナ編集部=石井孝明)11月30日

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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