気候変動交渉COP16、半歩の前進

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【写真】12月11日、カンクン合意が採択されたCOP16会議場で ©UNFCCC

メキシコのカンクンで開催されていたCOP16(国連気候変動枠組条約第16回締約国会議)は12月11日、温暖化ガスの排出削減に向けた新たな国際ルールの骨格となる「カンクン合意」を採択して閉幕した。主要排出国である中国や米国にも排出削減を求め、途上国での削減を支援する「グリーン気候基金」の設立なども盛り込む内容で、昨年の「コペンハーゲン合意」から半歩前進した形だ。しかし法的拘束力はなく、2013年以降の「ポスト京都議定書」の枠組み作りは来年のCOP17に委ねられた。

カンクン合意では、昨年のCOP15では各国が「留意する」にとどまったコペンハーゲン合意を踏まえ、途上国の排出削減支援を目的に先進国が1千億ドルを拠出する「グリーン気候基金」の設置や、地球温暖化による被害への対策を進める「カンクン適応枠組み」の設立を決議。さらにコペンハーゲン合意で中国が強く抵抗した「MRV」、すなわち途上国での排出削減を検証する制度についても構築すると明記した。

そして、2012年に期限を迎える京都議定書以降の各国の排出削減をめぐっては、京都議定書を離脱した米国を含む先進国に削減目標の数値を上げるよう促す一方、同議定書で削減義務が課されない途上国に対しても削減計画を示すよう求めた。ただし、削減目標に法的拘束力を持たせるかは明示せず、また、先進国だけが削減義務を負う京都議定書の延長の是非についても結論を先送りした。

今回の会議で、日本は一貫して京都議定書の単純延長に強く反対。米国、中国など主要排出国も削減義務を負う「実効性ある枠組み」の構築を主張した。カンクン合意で京都議定書の延長が回避されたことで、産業界は日本政府の姿勢を評価している。

しかし、もし京都議定書が延長されず、13年以降に各国の削減義務の「空白期間」が生じる事態になれば、日本は世界から批判を一身に浴びる可能性もある。今回、日本は交渉の最終盤で、削減義務を一方的に負わないよう決議案に「脚注」を付記することなどを条件に、カンクン合意を採択する道を選んだ。

NPO「環境・持続社会」研究センターの足立治郎事務局長は今回の成果について「昨年からは前進した内容だが、COP17では空白期間の回避という重い課題がある。京都議定書の延長を求める声は大きく、日本は今後も国際交渉の場で苦しい対応を迫られるだろう。国際交渉戦略や国内政策の練り直し、他国との連携強化など、この1年間の準備が極めて重要だ」と話している。(オルタナ編集部=斉藤円華)2010年12月14日

2010年12月14日(火)19:54

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