政府は原子力発電所建設をめぐる国際商戦で、日本企業の中東での建設受注を支援する。大畠章宏経済産業相はサウジアラビアを訪問中の1月8日、同国エネルギー担当者との会談で原発建設への協力を表明した。政府はトルコやヨルダンでの受注支援も行う方針だ。
急増する電力需要を満たすため、新興国では大量発電が可能な原発への関心が高まる。また原発は稼働時にCO2を排出しないことから、温暖化対策に役立つとの主張もある。そして韓国が官民一体の販促活動で2009年末にアラブ首長国連邦(UAE)の原発受注に成功したことに刺激され、日本政府も企業への協力に動いた。
しかしイランのウラン濃縮活動など原子力の軍事利用への懸念から、中東では国際社会の厳しい監視が行われている。そして放射性廃棄物の管理などの問題は日本国内でも議論が定まっていない。そうした状況下での官民一体の原発輸出の推進策には、批判的な意見も強まりそうだ。(オルタナ編集部=石井孝明)2011年1月12日